IHSマークイットでシニアディレクターを務める早瀬宏氏は2019年1月23日に行ったディスプレイ市場動向の説明会で、市場動向や、今後の注目ポイントについて語った。
「中小型ディスプレイでは中国の実力が上がってきた1年だった」――。IHSマークイットでシニアディレクターを務める早瀬宏氏は2019年1月23日に行ったディスプレイ市場動向の説明会で、2018年の中小型ディスプレイ市場を振り返ってこのように述べた。
早瀬氏は、携帯電話機用FPD(フラットパネルディスプレイ)の市場動向について説明した。以下、本稿の「FPD」は、特に記載がない限り「携帯電話用の中小型FPD」を指す。
FPDの出荷先動向として顕著なのは、Samsung Electronics(以下、Samsung)の減速だ。早瀬氏は、「Samsungは、中国勢から相当なプレッシャーをかけられ、苦戦が続いている。同じAndroid端末メーカーということの他、中国メーカーの端末の性能が上がってきたことも理由の一つだろう。中国メーカーでは、Huaweiの成長が群を抜いていて、一時期は経営すら危ぶまれていたXiaomiも持ち直している」と分析する。
FPDの調達量シェアをスマートフォンメーカー別に見ると、2017年、2018年ともにトップはSamsungだが、シェアを21%から16.2%と約5ポイント落とす見込みだ。2位のAppleも13.9%から12.6%と、1ポイントの低下になるとしている。一方でHuaweiとXiaomiは、シェアを伸ばす見込みだ。
「この1年で、SamsungとAppleという上位2社と、中国メーカーとの差が大きく縮まったといえる」(早瀬氏)
FPDの出荷数量を、AMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)、LTPS TFT LCD(低温ポリシリコンTFT液晶)、a-Si(アモルファスシリコン) TFT LCDという技術別で見ると、AMOLEDではSamsung Displayの独壇場が続いている。2017年に比べて変化があったのはLTPS TFT LCDのシェアで、中国ディスプレイメーカーであるTianma Microelectronics(天馬微電子、以下Tianma)が、これまで1位だったジャパンディスプレイ(JDI)を抜いてトップに立ち、3位にBOEがランクインした。「これまではJDI、Tianma、シャープ、LG Displayという、Appleにディスプレイを納品しているメーカーが上位にいたが、中国のディスプレイメーカーの実力が上がってきたことと、中国国内の需要が増えてきたことで、中国のメーカーの順位が上がる結果となった」(早瀬氏)
早瀬氏は「a-Si TFT LCDは特にそうだが、LCDは中国メーカーの勢いが強い。AMOLED市場を独占しているSamsung Displayに対して、中国メーカーがどう仕掛けていくかが、これからの焦点になるだろう」と述べた。
2018年におけるアプリケーション別の出荷量は、スマートウォッチと車載向けが伸び、一方でモバイル機器向けは、スマートフォンの買い替え需要が思ったほど伸びず、前年比で7240万台減と大幅に減少している。
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