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MIPS、オープンソース化で「RISC-V」越えを狙う?IPビジネスからの移行(1/2 ページ)

MIPSアーキテクチャのISA(命令セット)をオープンソース化する方針を発表したWave Computing。しかし、オープンソース化を実現するということは、長い間慣れ親しんできた既存のIP(Intellectual Property)ライセンスビジネスであるMIPSから、大きく移行することを意味する。

» 2019年02月25日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

 Wave ComputingのCEO(最高経営責任者)であるDerek Meyer氏は、同社が2018年6月にMIPSを買収した当時、オープンソース化を進めていきたいと考えていた。しかし同氏は、MIPS分野の専門家として長年にわたる経歴を持つこともあり、その考えを安易に主張することができなかった。数多くのハードウェア開発メーカーが、MIPSオープンソースコミュニティーへの参加に関心を持っていたが、Wave Computingは、こうしたメーカー各社をサポートするために必要とされる高信頼性のインフラを、全く用意できていなかったのだ。

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 オープンソース化について語るのは簡単だ。しかし、オープンソース化を実現するということは、長い間慣れ親しんできた既存のIP(Intellectual Property)ライセンスビジネスであるMIPSから、大きく移行することを意味する。

 Wave Computingは最初のステップとして、MIPSライセンス事業部門担当プレジデントにArt Swift氏を迎え入れた。同氏は、古い世界(既存のIPライセンス)と新しい世界(オープンソース)の両方を最もよく知る、期待通りの人物だ。同氏は、RISC-V FoundationのMarketing Committeeの副委員長を務めた他、2008〜2011年にMIPS Technologiesでマーケティング/ビジネス開発担当バイスプレジデントを務めていたという経歴を持つ。

 Wave Computingの2つ目のステップは、2018年12月に発表した、MIPSのISAをオープンソースで公開する「MIPS Open」の実現に向けて、引き金を引くことだ。同社は以前に、2019年第1四半期にはMIPS ISA(命令セットアーキテクチャ)とMIPS最新コアを提供できる予定だと発表していたが、その後は詳細を一切明らかにしていない。

 Swift氏は、EE Timesが2019年2月上旬行ったインタビューの中で、「順調に計画を進めており、間もなく全ての成果を提供できるとみている」と述べている。

 同氏は、「ここで言う“成果”とは、データベースやRTL、オープンソースのツールチェーン、設計フローなど、主要な要素を意味する。数百件に上る潜在顧客向けに、簡単に使用するための設定オプションを提供する必要があるので、文書化することが非常に重要だ」と説明する。

 また同氏は、「MIPSは近々、オープンソースコミュニティー向けに提供するコアについて、詳細を発表する予定だ」と述べた。

 Swift氏は、「MIPSは確実に、本物のオープンソースISAになるだろう。しかし、MIPSが最初から、強力なアーキテクチャを備える商用命令セットを提供するとなれば、より規模が大きい成熟したハードウェア開発メーカーを、数多く引き付けられるはずだ。MIPSはターゲット顧客として、Armの代替を模索しているライセンシーなどを想定している」と述べる。

 MIPSは、競合品に対してさまざまなメリットを持つ。MIPSの命令セットは既に、SIMD(Single Instruction Multiple Data)やDSPなどの拡張を備える他、ISAとコアはいずれも実証されている。Swift氏は、「半導体メーカーは、あらゆる目的に向けて、十分な試験を行った実証済みの命令セットをベースとして、独自コアを開発することが可能だ」と述べている。

「訴訟はしない」という取り決め

 Swift氏は、「さらにMIPSは、独自の“特許保護”を提供している」と述べる。

 MIPSオープンアーキテクチャのユーザーは、300件ものMIPSの既存の特許を無償で利用できる。Swift氏は、「MIPSライセンシーは、相互に訴訟を起こさないことを約束する“訴訟禁止”の取り決めに同意しているため、MIPS Openの新規参入者も訴訟の心配をせずに開発を進められる」と説明している。

 さらに、Swift氏によると、MIPSでは断片化を防ぐ取り組みとして、地域ごとに認証センターを開設するという。その目的は、MIPSおよびMIPSの機能に準拠した実装がなされていることの確認と、MIPSの商標および特許の保護である。

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