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欧米製から“自前”へ、通信チップにも進出し始めた中国製品分解で探るアジアの新トレンド(37)(2/3 ページ)

» 2019年04月01日 11時30分 公開

Wi-Fi/Blueoothを自前にしたことで、チップの完成度が高まる

 さて、今回の本題に入ろう。中国製スマートフォンは長らく、近傍通信(Wi-FiやBluetooth)に欧米のチップを使い続けてきた。Broadcom、Qualcomm、Nordic SemiconductorやCypress Semiconductorなどの実績が大きい。しかし、2017年くらいから徐々に中国メーカーのチップセットの中に、Wi-Fi、Bluetooth通信機能を持った自前のチップが組み込まれている。

 図1は、2018年に発売になった中国LEAGOOのスマートフォン「T5C」を分解した様子である。内部には、中国Tsinghua UnigroupのSpreadtrum Communication(以下、Spreadtrum)の14nmプロセッサ、電源IC、トランシーバーセットに加えて、Wi-Fi、Bluetooth通信のチップも含まれている。メインのプロセッサは広域データ通信のLTEや2G/3Gを行うモデムを持っている。

図1:中国LEAGOOの「T5C」を分解 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 中国メーカーではHuawei傘下の半導体メーカーであるHiSiliconや、ZTE、Unigroup傘下のRDAやSpreadtrum、LeadCoreがLTEモデム機能を持つプロセッサを数多くリリース。スマートフォンや各種応用製品に採用される実績を持っている。

 LTEモデムに加えて、Wi-Fi、Bluetoothチップをラインアップにそろえたことは大きな進展であった。こうしたチップはスマートフォンのみならず、多くのIoTエッジ機器に使用できるからだ。

 図2はSpreadtrumのWi-Fi、Bluetoothコンビネーションチップ「SC23428」の開封の様子である。多くのメーカーは現在1シリコン化したコンビネーションチップを提供しているが、2つの機能を1シリコン化すると、その分チップ面積が大きくなってしまう。

図2:Spreadtrumのチップ「SC23428」を開封した様子 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 ユーザーはWi-Fiだけ、Bluetoothだけを使いたいケースもある。両者を使いたい場合は図2のチップを使えばよいが、Spreradtrumは、おのおのを個別にパッケージ化したチップもそろえている。

 いずれにしてもWi-Fi、Bluetoothチップを、自社製にすることで、チップセットの完成度は高まり、かつ多くの市場分野にアプローチできるようになる。

 ちなみに本パッケージの中身であるが、図2は一部省略しており、Wi-Fi用、Bluetooth用の2つのシリコン以外にも、通信に必要なアンテナスイッチなどの部品も内蔵されており、モジュール化されたものになっている。この辺りの作り込みも先行した欧米メーカーと同等の構造だ。

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