IHSマークイットジャパンのアナリストが、エレクトロニクス業界の2019年を予測するシリーズの第3回。今回は、5G(第5世代移動通信)とエンタープライズネットワークを取り上げる。
IHSマークイットジャパンのアナリストが、エレクトロニクス業界の2019年を予測するシリーズ。今回は、5G(第5世代移動通信)を取り上げる。2019年4月に、米国のVerizonと韓国のKTが、5Gサービスを開始した。このように2019年は、5Gの商用化がいよいよ本格的にスタートする年となりそうだ。IHSマークイットジャパンのシニアアナリストで、5Gを担当する大庭光恵氏に話を聞いた。
EE Times Japan ではまず、5Gの全体的な動向についてお聞かせください。
大庭光恵氏 半導体市場は2019年後半に持ち直すと予想されており、その時にポイントとなるのがメモリ以外の分野での成長だ。そして、その成長をけん引するのが5Gだと考えている。
現在、端末メーカーがほとんどない状態で、2019年のサービス開始が始まったが、2019年第3、第4四半期にAndroid系の5G端末のリリースが計画されている。Samsung Electronicsの他、Huawei、OPPO、Vivo、Xiaomiといった中国メーカーの端末が市場に投入される予定だ。
一方で、そうした5G端末にユーザーがどれだけ飛びついてくるかというのは、まだ分からない。ただ、アプリケーションとしては、データ量の多い高画質の映像などを非常に短時間でダウンロードできたり、パブリックビューイングのような施設でコンテンツをユーザーとシェアできたりと、さまざまなものが考えられている。こうしたアプリケーションを実現できるよう、半導体メーカーも開発を進めている状況だ。
EETJ インフラでは、米国を中心に“Huawei外し”の動きが強まっていますが、2G/3G/4Gモバイルインフラ売上高におけるHuaweiのシェアは、どのような状況でしょうか。
大庭氏 2018年のシェアは26%で、Ericssonの29%に次ぐ2位だった。Huaweiのシェアは、一時はシェア30%に迫る勢いがあったが、第3四半期に低下した。全体のパイが低調な状況でキャリアの不買表明も影響している。北米では、67%のシェアを獲得しているEricssonに比べてHuaweiのシェアはわずか5.9%となっている。欧州中東アフリカでは新興国需要の積極的な取り込みでシェアが上昇し、アジア太平洋地域では、最大の市場である中国に加え、周辺国での新規需要を取り込み、ZTEに次ぐシェアを維持している。
今後の方向性として、Huaweiをはじめとした中国系ベンダーは北米や日本などの国以外で、積極的な展開を進めることが予想される。
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