ロームは、「TECHNO-FRONTIER 2019(テクノフロンティア)」で、産業機器の省電力化や小型化、最適化、高機能化を可能にする電子デバイスやソリューションを提案した。
ロームは、「TECHNO-FRONTIER 2019(テクノフロンティア)」(2019年4月17〜19日、千葉・幕張メッセ)で、産業機器の省電力化や小型化、最適化、高機能化を可能にする電子デバイスやソリューションを提案した。
ブースは大きく、「SiCパワーソリューション」「モーターソリューション」「センサーソリューション」および、「アナログテクノロジー」と4つのコーナーに分けられ、最新のSiCパワーデバイスや電源IC、モータードライバーICなどを紹介した。
来場者の注目を集めたコーナーの1つが「モーターソリューション」である。ブースでは、ステッピングモータードライバーICを評価するツール「RAGU」の実演デモを行った。RAGUは、メインボードとオプションボード、モータードライバーICを搭載した評価ボード(DUTボード)および、PC上で動作するモーター制御用のアプリケーションソフトウェアで構成される。
これまでは、モータードライバーICの動作を評価するために、オシロスコープやファンクションジェネレーター、デジタルマルチメーターおよび、複数の電源装置など、多くの高価な計測機器を用意し、評価用ソフトウェアなども開発する必要があった。これらの投資額は一式で約400万円にも達するという。
これに対し、RAGUを用いればPCと1個の電源装置を組み合わせるだけで済み、DUTボードにモーターを接続すれば、モータードライバーICの評価が行える。評価用の制御プログラムも、PC上で動作開始や停止のタイミング、回転する時間や方向などを設定することで比較的容易に作成することができる。PC上の画面には、出力波形やICチップの温度などが表示される。
RAGUを用いると、わずか15万円程度の投資で、モータードライバーICを評価することが可能である。このため、ベンチャー企業や大学などの研究機関でも比較的導入がしやすくなった。
なお、第一弾の製品は耐圧36Vで、出力電流定格2.5AのステッピングモータードライバーIC「BD63725BEFV」を搭載したDUTボードを供給するが、それ以外の製品を搭載したDUTボードも順次、用意する計画である。
もう1つは、ブラシレスモーター制御でステップ動作を可能とする、三相ブラシレスプリドライバーIC「BD63700MUV」である。ブラシレスDCモーターは、回転子の位置を検出するため、ホールICや光学式エンコーダーなどの位置検出用センサーを用いる。これらの位置情報を処理して制御するために、外付けマイコンとモータードライバーICを組み合わせていた。
開発中のBD63700MUVは、ホールICで検出した情報を処理する演算回路を内蔵した。これにより、これまで外付けしていたマイコンが不要となった。また、nチャネルMOSトランジスターを駆動するための昇圧回路や、低電圧誤動作防止の機能なども内蔵した。プリンタや複写機向けモーターの駆動用途などに提案する。
また、スマートフォンやタブレット端末を用い、モーターの制御や動作状態を監視できる「ワイヤレスコントロールモーターシステム」も紹介した。Bluetooth無線方式で接続し、モーターのオン/オフ制御や回転数の変更が行える。スマートフォンなどのディスプレイには、モーターの回転数や内部温度といった測定データを表示させることができる。空調システムなどにも適用することが可能だ。「工場設備を新たに拡張したり、設置場所を変更したりした場合でも、無線接続のため通信用ケーブルなどを新たに敷設する必要がなく対応も容易」(説明員)と話す。
同社が最も期待する事業領域である「SiCパワーソリューション」のコーナーでは、新開発のSiC MOSFETを内蔵した耐圧1700VのAC-DCコンバーターICを始め、1700V/250Aの高耐圧フルSiCパワーモジュールなどを展示。SiCパワーデバイス応用例として三相30kW双方向インバーターなどを紹介した。
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