半導体市場は2019年初頭から、急激に悪化し始めた。こうした状況を受け、米国の市場調査会社であるIHS Markitは、2019年の世界半導体売上高予測を10%以上の大幅下方修正を行った。
半導体市場は2019年初頭から、急激に悪化し始めた。こうした状況を受け、米国の市場調査会社であるIHS Markitは、2019年の世界半導体売上高予測を10%以上の大幅下方修正を行った。
IHS Markitは以前に、2019年の世界半導体売上高について、2018年比2.9%増と予測していたが、今回は、前年比7.4%減となる4462億米ドルに下方修正した。
IHS Markitは、「半導体売上高が7.4%減少するとの予測は、2009年の世界的金融不況の時に約11%減を記録して以来、最も大きい減少幅となる」と述べている。
2019年第1四半期に世界半導体売上高が低迷したことを受け、さまざまな市場調査会社が、自社の予測を下方修正している。IHS Markitも今回、こうした傾向の一環として下方修正を発表した。例えば、IC Insightsは最近、2019年の世界半導体売上高が、少なくとも前年比で9%減少するとの予測を発表した。またWSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)は、世界半導体売上高が約3%減少すると予測している。WSTSは、売上高データを提供する半導体メーカーのグループで構成されている。
IHS Markitでリサーチマネージャを務めるMyson Robles Bruce氏は、「2019年初めごろは、多くの半導体メーカーが、2019年に穏やかな成長を遂げられるだろうと楽観視していた。しかし、半導体メーカーのこのような自信は、現在のような景気低迷の状態が深刻化してきたことを受け、たちまち不安へと変化していった」と述べている。
現在のような低迷傾向が深刻化した要因としては、2019年第1四半期に需要が軟化したことや、在庫レベルが急激に高くなったことなどが挙げられる。IHS Markitによると、DRAMやNAND型フラッシュメモリ、汎用マイコン、32ビットマイコン、ASICなどのさまざまな製品分野では、2019年第1四半期に売上高減少幅が2桁台に達するなど、苦境に陥っているという。
IHS Markitは、2019年の世界半導体売上高が、2009年以来となる記録的な落ち込みを見せるとの予測を発表したが、2019年第3四半期には、SSDやスマートフォンに搭載されているNANDフラッシュ、ノートPCやサーバに搭載されているプロセッサなどの売上高が回復していく見込みであることから、市場全体の状態も上向いていくとみているようだ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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