2018年に開催された「フラッシュメモリサミット」では、さまざまな講演が行われた。今回から始まるシリーズでは、半導体メモリ市場を分析した講演「Flash Market Update 2018」の内容を紹介する。
フラッシュメモリとその応用製品に関する世界最大のイベントが、「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」だ。毎年8月に、米国カリフォルニア州サンタクララで開催される。FMSは講演会と展示会で構成されており、来場者はフラッシュメモリとその応用に関する製品や技術、産業などのさまざまな情報を得られる。
最近のFMS(2018年8月に開催)で公表された情報の1つに、半導体市場調査会社Objective AnalysisでアナリストをつとめるJim Handy氏が「Flash Market Update、2018」のタイトルで述べた半導体メモリ市場に関する分析がある。その内容が興味深かったので、概要をシリーズでご紹介したい。
なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。
Handy氏の講演は大別すると、NANDフラッシュメモリ業界に関する前半部分と、エマージング・メモリ(次世代メモリ)に関する後半部分に分けられる。NANDフラッシュメモリの大手ベンダーの半分はDRAMの大手ベンダーでもあるので、前半ではDRAM業界についても少しふれている。
始めは、DRAMとNANDフラッシュメモリの大手ベンダーによる市場シェア(金額ベース)を見ていこう。これらの大手ベンダーは合計で6社あり、その中で3社がDRAMの大手ベンダーを兼ねる。
DRAMベンダーでトップシェアを占めるのはSamsung Electronics(以降はSamsungと表記)である。DRAM市場の半分近く、46%を占める。2位はSK Hynixで、市場の26%を確保する。3位はMicron Technology(以降はMicronと表記)であり、シェアは21%である。これらの大手3社で、DRAM市場の93%を占める。残りの7%は主に、台湾のDRAMベンダーによる販売分である。
NANDフラッシュメモリのベンダーでトップシェアを占めるのは、これもSamsungだ。シェアは33%である。次に東芝メモリが19%で2位に付ける。僅差で3位にWestern Digital(以降はWDCと表記)が入る。シェアは18%である。
4位はMicronでシェアは12%、5位はSK Hynixでシェアは11%、6位はIntelでシェアは7%となっている。大手6社の合計は100%である。6社で完全に寡占化しているともいえる。
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