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「対韓輸出規制」、電子機器メーカーの怒りの矛先は日本に向く?湯之上隆のナノフォーカス(15)(3/4 ページ)

» 2019年07月10日 11時30分 公開

NANDフラッシュへの被害

 SamsungのGALAXY用APおよびDRAMの製造が滞ったときの被害は既に論じたが、NANDフラッシュにはどのような影響があるだろうか?

 図2に、NANDフラッシュの企業別四半期毎の売上高シェアを示す。2019年第1四半期のNAND売上高シェアは、1位のSamsungが39.4%、5位のSK hynixが9.5%であり、2社合計で39.4%になる。DRAMの世界シェア72.6%に比べると、世界全体へのインパクトは、まだ“まし”かもしれない。

図2 NANDフラッシュの四半期ごとの企業別売上高シェア 出典:DRAMeXchangeのデータを基に筆者作成(クリックで拡大)

 しかし、NANDを内蔵したSSDの企業別四半期毎の出荷台数を見てみると、Samsungが33.4%と突出して高いシェアを占めていることが分かる(図3)。3位のSK hynixのシェア9.9%との合計で43.3%になる。

図3 SSDの四半期毎の企業別出荷台数シェア 出典:StorageNewsletter; TrendFocus; Business Wireのデータを基に筆者作成(クリックで拡大)

 恐らく、出荷台数シェアで圧倒的1位のSamsungは、PC用だけでなく、Amazon、Microsoft、Googleなど、クラウドメーカーのデータセンターに使われるサーバ用に大量のSSDを供給していると考えられる。

 従って、SamsungのNAND工場でフッ酸の在庫が無くなったら、SSDの供給が停止することになる。ここ最近、クラウドメーカーが、データセンターの設備投資を再開する動きがある。もし、SamsungからのSSDの供給が止まったら、クラウドメーカーたちは、その元凶となった日本政府を激しく非難するだろう。

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