既出の図3には、Form Factor(Port Type)とそれらがサポートするインタフェース(Interface Type)が示されている。
OSFPとQSFP-DDがサポートするインタフェースは、ほとんど変わらない。両Form Factorとも「400GBASE-X」という400GbEインタフェースをサポートしている。Xは、主に距離ごとに規格化されたインタフェースだ。図3に掲載されているインタフェースは、基本的にIEEE 802.3標準化委員会で規格化されたものとなっている。
図5に、Ethernet規格の歴史(つまりは伝送速度の変遷)を示す。既に多くの伝送速度のEthernetが規格化されている。とりわけ、2015年ごろ以降に、その数が急増している。そして、それぞれの伝送速度ごとに、距離や配線ファイバー種類、電気ケーブルなど多数のインタフェース規格がある。
一般に、インタフェースというのはアプリケーションごとに規格化されている。
例えばEthernetは、データセンターのサーバスイッチネットワークなど、LAN(Local Area Network)のインタフェースとして主流となっている規格だ。同じように、ストレージではFibre Channel、スーパーコンピュータやHigh Performance Computer(HPC)のデータネットワークではInfiniBandというように、アプリケーションの要件を満たす規格が決められている。
さらに、長距離伝送ではITU-T、モバイルネットワークではCPRIなど通信ネットワークでも規格があり、最近では車載や家庭内ネットワークなどの規格もある。これらは継続的に標準化を行っている組織・団体で規格化されるため、デジュール(de jure)標準あるいは同等と言って良い。
2000年に入り、それまで4倍則のテレコムは2.5Gから、10倍則のデータコムは1Gから、それぞれ10Gという同じ速度に高速化した。これにより、光インタフェースの世界では、技術的な進展があっただけでなく、市場が飛躍的に拡大し、コンポーネントなどのコストも下がった。
以降、各標準化団体は協調するようになり、アライアンスを組みながら、同じ伝送速度に近い、あるいは調整で達成可能な範囲で規格化を行ってきている。
さて、図3には「100GBASE-CWDM4」「100GBASE-ERL4」のように、IEEE 802.3標準化委員会によって定義されていないEthernetインタフェースもある。
これらは、技術の進歩やユーザー要求の変化などで、デジュール標準インタフェースではユーザー要求が満足されない時に策定される、新しい規格だ。その中心となっているのが、先ほど少し触れたMulti-Source Agreement(MSA)標準と呼ばれるデファクト(de facto)標準、つまり業界標準である。
MSA標準の多くは、IEEE 802.3の規格のような名称になっているので注意が必要だ。例えば「100GBASE-CWDM4」は、100GbEの主流規格の一つとなっている。400GbEに関してもMSA規格が主流になると予測されている。MSA標準はユーザーや市場要求に対し限られた企業で規格化されるため、規格化期間が短く、大口ユーザーあるいは市場の要求を満たしていることがメリットである。
さらに、MSAでもないカスタムな仕様も存在する。標準規格を使用しなければならないのはInteroperability(相互接続性)が必要なOpen Systemであり、Closed Systemではカスタム仕様で低価格を実現することもある。
例えば、10GbEのインタフェースでFPレーザーという安価な半導体レーザーを使用した光トランシーバーが、大量にデータセンターマーケットで流通していた。筆者らは「10GBASE-LR Lite」とか「10GBASE-LRL」などと呼んでいたが、標準規格は無かった。さらに、ハイパースケールデータセンター内ネットワークは低コスト化を目的にカスタム仕様のインタフェースが使用されているといわれる。その多くはデジュールやデファクト標準規格を基にカスタマイズしている。
以上のように、多数ある光トランシーバーのインタフェースをできるだけ整理して解説していきたい。インタフェースの規格には光伝送技術や光デバイス、ファイバーケーブルなどの部品の選択がバックグラウンドにあり、それについても触れていきたい。
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