図2は、TV基板の裏面の様子である。表面には先に述べた東芝プロセッサ、MediaTekのプロセッサおよびそれらに接続されるメモリが並んでいる。裏面の左側が東芝のプロセッサ、中央がMediaTekのプロセッサが実装されている場所だ。中国メーカーHisenseの製品なので、多くの中国半導体が使われていると思われたが、全体では数個であった。本製品ではわずかにシリアルメモリやイーサネット用トランスフォーマーなどに中国製が採用されているのみであった。
ただし先にも言及したように、今後中国メーカー色が高まっていく中で、サプライヤーの変更などで中国製半導体への置き換えは進むものと思われる。
TCONボードはディスプレイとセットで開発されるケースが多い。55E8000の有機ELパネルは韓国LG Electronics製で、TCONもセットで、LG Display製チップが用いられ、また付随する多くのチップも韓国製であった。
これを見ると、「最終製品を失うということは、そこに搭載される部品のサプライヤーまで根こそぎ変わっていく」ことなのだと痛感する。日本製大型パネルが健在であった当時はドライバー、TCON、制御系、アナログなど日本製半導体や部品で溢れていたが、LG Electronicsのパネルでは韓国製の半導体や部品にすっかり置き換わってしまったからだ。
図3は、55E8000の多機能リモコンの中身である。現在、多くのTVはBluetoothなど通信を使うがE8000は赤外線リモコンだ。内部は中国Semicのローエンドマイコンが使われている。リモコン用のマイコンでは現在、中国製チップが多い。Semicのチップは他にも多くの日本で販売される製品に入っている。
例えばホームセンターや大型量販店で販売されるDVD再生専用機(数千円)のLCD制御マイコンや車載用のFMトランスミッターのディスプレイ制御マイコン、ドン・キホーテの格安ノートPC「MUGAストイックPC」のタッチパッドに搭載されているコントローラーマイコンなどである。中国メーカーのチップは末端の小さな処理に、入り込んでいるわけだ。
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