今回はWestern Digitalの四半期決算(2019年会計年度第4四半期)を紹介する。売上高は4四半期連続の減収となったものの、底を打つ兆しが見えてきた。
ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Western Digital(以降はWDと表記)と米Seagate Technology(以降はSeagateと表記)が、四半期の業績を相次いで公表した。発表日(現地時間)はWDが2019年7月31日、Seagateが8月2日である。そこで今回と次回は、WDとSeagateの四半期業績をご説明する。
WDの会計期間は7月から始まり、6月を決算月とする。7月31日に同社が発表したのは2019年4月〜6月の四半期業績で、会計年度では「2019会計年度第4四半期」となる。
2019会計年度第4四半期(2019年4月〜6月期)の売上高は前年同期比29%減、前四半期比1%減の36億3400万米ドルである。四半期の売上高は前四半期比で4四半期連続の減収となったが、ここにきて底を打つ兆しが見えてきた。
2019会計年度第4四半期(2019年4月〜6月期)の営業利益(Non-GAAPベース)は前年同期比88%減、前四半期比15%減の1億5800万米ドルである。粗利益率は24.2%で、前四半期の25.3%からわずかに低下した。売上高営業利益率は4.3%である。これも前四半期の5.1%からわずかに下がった。
概況としては厳しい状況が続いているものの、2019年後半の状況は現在よりも悪くはならず、より良い方向に向かっていると予測する。フラッシュメモリ応用製品(フラッシュ応用品)の在庫と供給は過剰な水準を脱し、適正な水準に戻ったとみる。フラッシュ応用品の市場はサイクルの谷にあり、今後は谷から山へ移ると期待する。
支出面では2019年7月〜9月の四半期に経費の削減を実施する。この経費削減計画は、2019年10月〜12月の四半期には完了させる予定である。
製品開発は、HDDとフラッシュ応用品の両方で積極的な開発を継続する。HDD製品では、容量重視タイプHDDの記憶密度向上と記憶容量で市場を主導していく。その主役となる記憶容量が14TBのHDDは、主要な顧客全てで認証が完了したとする。またエネルギーアシスト記録技術を採用したHDDの開発を計画通りに進めており、16TBおよび18TBの大容量HDDを2019年(暦年)中に市場へ投入する。
フラッシュ応用品では、BiCS3(64層)世代の3D NANDフラッシュを搭載したエンタープライズ向けNVMe SSD(前四半期に出荷を始めた)の売り上げが急速に伸びている。
NANDフラッシュの生産では、BiCS3(64層)世代からBiCS4(96層)世代への移行を進める。2019年7月〜9月の四半期には、供給ベースでビットクロス(記憶容量の合計が同じになること)が生じると予測する。2019年(暦年)末までには、出荷ベースでもビットクロスが起こるとみる。
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