2019年9月20日に発売されたAppleの新型スマートフォン「iPhone 11 Pro」の内部の様子を報告する。一見すると、従来モデルを踏襲した内部設計のようだったが、詳しく見ていくと大きな変化が潜んでいた――。
2019年9月20日、毎年ほぼ恒例になったAppleの新型スマートフォン「iPhone」が発売された。筆者が代表を務めるテカナリエでは発売当日4台の新型iPhoneを分解し、内部の構造、システム、チップなどの解析を行って100ページの分解解析レポート(=テカナリエレポート)を発行した(9月27日)。
そこで、今回は新型iPhoneの上位端末「iPhone 11 Pro」の解析結果の一部を報告する。
図1は、iPhone 11 Pro(Pro Maxもほぼ同じ)の外観とディスプレイを取り外した内部の様子である。最大の特長はApple初の3眼カメラを搭載したことだ。ライバルのSamsung ElectronicsやHuaweiは、「Galaxy S10 5G」や「P30 Pro」といった2019年モデルで、すでに4眼カメラのスマートフォンをリリースしている。そのため、数字だけで見ればiPhone 11 Proが決して最先端というわけではない。しかし大胆な3角配置のレンズが、新しいものであり最大の特長になっている。
内部の基本コンポーネントの配置は、2年前(2017年)のモデル「iPhone X」を踏襲するものだ。内部の上からFace ID、インカメラ、その右にアウトカメラ(3眼)、カメラの下にコンピューティング基板、L字型の電池、その下にスピーカーと振動を作るTAPTICエンジン、Lightningコネクターとなっている。これらコンポーネントの配置位置は2年前のiPhone Xのままである。2007年発売の初代「iPhone 2G」を起点に、10周年モデルとしてリリースされたiPhone Xの基本設計は、その後3年は、そのままモディファイされて使われているわけだ。(初代iPhone 2G、同3G、同3GSまで3機種が同じ基本設計を使ったことやiPhone 6から画面が大型化されたサイクルを鑑みるとiPhoneの基本設計は3〜4年周期で大きく変更されている。このことから、iPhone 11は最後のiPhone Xを起点とする形状の可能性があると言えるだろう)
図2は、iPhone 11 Proの基本部品の2つ、3眼カメラとプロセッサ基板を取り出した様子である。3つのカメラはそれぞれレンズが異なる。基板はスペーサーを介した2階建て構造となっている。一見すると整然とかつ、ぴったりすべてが収まっているように見える。Appleは、前年(2018年)モデルで2個だったカメラを3個に増やしながら、ほぼ同じサイズの筐体の中に収まめるために、どのような工夫をしたのだろうか!?
2年前のiPhone Xで確立した基本設計を、iPhone 11 Proは踏襲しているとはいえ、カメラユニットを1つ追加するためには、従来通りではスペースがないために内部のサイズ、形などを大きく変更しないとならないことは明白だ。
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