イタリアのパワー半導体向けエピ成膜装置の専業メーカー「LPE」が、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体市場の急成長を追い風に日本市場に本格参入をする。同社は2019年10月2日、SiCエピ成膜装置の新製品「PE106A」を世界に先駆け日本で販売開始。東京都内で開催した記者会見で、日本市場に向けた事業戦略などを説明した。同社CEOのFranco Preti氏は、「まずは、全体の売上における日本市場のシェアを現在の5%未満の状態から、5年以内に20%程度にまで上げていきたい」と語った。
イタリアのパワー半導体向けエピ成膜装置の専業メーカー「LPE」が、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体市場の急成長を追い風に日本市場に本格参入をする。同社は2019年10月2日、SiCエピ成膜装置の新製品「PE106A」を世界に先駆け日本で販売開始。東京都内で開催した記者会見で、日本市場に向けた事業戦略などを説明した。同社CEOのFranco Preti氏は、「まずは、全体の売上における日本市場のシェアを現在の5%未満の状態から、5年以内に20%程度にまで上げていきたい」と語った。
LPEは1972年にイタリアのミラノで創業。同年に「欧州ではじめてエピ成膜装置を開発したパイオニア」(同社)といい、2001年にはSiCエピ成膜装置の開発も開始。世界的に珍しいパワー半導体エピ成膜装置の専業メーカーとして、主要半導体メーカーやウエハーサプライヤーなどに装置を提供している。
同社が焦点を当てているのは、急速に規模を拡大するSiCパワー半導体市場だ。同社は、市場予測データをもとに、「SiCエピ成膜装置の市場は現在1億米ドル未満だが、5年以内に5億米ドルを超えると期待できる」と説明。現在、同社の平均売上高約2000万ユーロだが、2019年の売上高は2700万〜3000万ユーロを目標としているという。
こうしたSiC市場の拡大を見据え、同社は新たに日本市場にSiC向け製品を投入していく方針を定めた。日本市場の展開にあたっては、巴工業が代理店として活動する。LPEは日本市場において既にSiエピ成膜装置では多くの実績があったが、技術サポートの面で課題があったといい、巴工業は2018年4月にLPE製エピ成膜装置のプロジェクトチームを設置。専任の技術者が技術サポートを強化していくという。
Preti氏は「日本は、SiC市場の急成長を支える車載や鉄道向け分野においても主要なマーケットであり、グローバルなSiCの発展においても大きな役割を持っている。われわれはその一部を担っていきたいと考えている」と説明。「まずは、全体の売上における日本市場のシェアを現在の5%未満の状態から、5年以内に20%程度にまで上げていきたい」と展望を語った。
LPEはこの日、SiCエピ成膜装置の新製品「PE106A」を世界に先駆けて日本で販売開始した。PE106Aは高周波加熱枚葉炉タイプの製品で、最大6インチ(150mm)ウエハーに対応する。独自の全自動搬送システム「カセット・トゥ・カセット方式」によって、カセットとチェンバー間のウエハー搬送を完全に自動化。これによって、量産に対応が可能になったという。
温度は最大で1800℃までで、圧力は0〜1000mbarとなっている。「業界最短の加熱、冷却を実現した」(同社)とするほか、ウエハーの搬送を900℃で行うことでサイクルタイムの短縮を実現している。また、薄膜、厚膜、超厚膜など製造するデバイスの仕様に合わせて対応が可能なほか、1回の処理でマルチ成膜ができる。サイズは幅1.1×高さ2.2×奥行き3.6mと小型だ。
同社はすでにR&D向けとしてSiCエピ成膜装置「PE106」(最大6インチウエハー対応)を提供しているほか、2020年には最大8インチ(200mm)ウエハー対応のSiCエピ成膜装置「PE108」、2024年にはPE108をベースに搭載チャンバーを2つとする「PE20X」を導入していく方針だという。
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