メディア
CEATEC 2019 特集

糖質の代謝状態を脈波で推定できるモニターシステム健康的なダイエットをサポート

京セラは2019年10月15〜19日の会期で開催されている展示会「CEATEC 2019」で血液を採取せずに、ジャイロセンサーで脈波形状を取得することで糖代謝状態を推定する「糖質ダイエットモニター」のデモ展示を実施している。

» 2019年10月15日 14時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 京セラは2019年10月15〜18日の会期で開催されている展示会「CEATEC 2019」で血液を採取せずに、ジャイロセンサーで脈波形状を取得することで糖代謝状態を推定する「糖質ダイエットモニター」のデモ展示を実施している。糖質ダイエットモニターは、「CEATEC AWARD 2019」において、スマートX部門準グランプリを受賞している。

糖質ダイエットモニター。ジャイロセンサーを搭載したセンサー端末(写真上)を手首の動脈に押し当てることで、スマートフォンのアプリに糖代謝状態が数値で表示される (クリックで拡大)

 血糖値は血液を採取して計測する方法が一般的で、現在、血液採取を伴わずに非侵襲的に血糖値を計測する方法の研究が進められている。京セラの糖質ダイエットモニターもそうした非侵襲的に糖代謝状態を割り出すことを目指して開発された。

 京セラの糖質ダイエットモニターは、手首の動脈にジャイロセンサーを搭載した小型端末を当て、脈波形状を測定。その脈波形状を、スマートフォンなどのアプリケーションソフトウェアで解析処理し、おおよその糖代謝状態を割り出す。京セラによると「脈波は、食事の影響を受けて変化する。この脈波の変化によって糖代謝を推定する」という。具体的には、手首の脈波には、心臓の鼓動による直接的な波と、体のさまざまな場所から生じる反射波が含まれている。ただ、食事後、血糖濃度が高まると、血管が太くなり、反射波が弱まる。この反射波の強弱などの脈波パターンで糖代謝状態を推定するという。

左=食後の糖質、脂質の変化推移。食後1時間程度は、糖質の代謝だけが大きく高まり、脈波に影響を及ぼす。その時間帯に脈波パターンを測定することで、糖代謝状態を推定する / 右=食事前(空腹時)と食後1時間の脈波パターンの変化例。食後の脈波はピークが大きい他、血糖濃度の高まりで反射波が弱まり、食事前に見られる“2つ目の山(ピーク)”がなくなっている 出典:京セラ (クリックで拡大)

 糖質ダイエットモニターは、「血糖濃度が高くなる食後1時間程度した際に使用することを想定している」とし、糖尿病予防などで重要な指標になっている食後高血糖を監視する用途を見込む。また、「糖質制限ダイエットでは、過剰に糖質を制限することは危険であり、食後に一定の血糖値を上回るようモニタリングするといった用途でも有効だと考えている」とする。

 測定時間は、手首にセンサー端末を当てて、Bluetoothで接続したスマートフォンなどのアプリに測定結果が表示されるまでおおよそ8秒間だ。

 京セラの担当者は、「従来から脈波で糖代謝状態を推定できることは分かっていたが、脈波から糖代謝状態を割り出すアルゴリズムの開発が難しかった。ニューラルネットワークなどの技術も適用してみたがうまくいかず、ある人工知能(AI)技術を適用したことで、実用レベルに達した」という。

 京セラでは、2020年の実用化を目指して開発を継続する方針。また「糖質だけでなく、脂質なども推定できるアルゴリズムも開発したい」としている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.