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中国はメモリを自給自足できるのか調査会社の分析資料から読み解く(1/2 ページ)

中国が世界のメモリ市場の主要プレイヤーを目指していることは公然の事実だ。本記事では、その実現には何が必要で、中国の参入は市場にどのような影響を与えるかを考察する。

» 2019年10月28日 13時30分 公開
[Gary HilsonEE Times]

“競争”ではなく、“自給自足”

 中国が世界のメモリ市場の主要プレイヤーを目指していることは公然の事実だ。本記事では、その実現には何が必要で、中国の参入は市場にどのような影響を与えるかを考察する。

 米国の半導体市場調査会社であるObjective Analysisが発表した最新レポート『China's Memory Ambitions(中国のメモリ市場への野望)』は、この問いの答えになるだろう。同社は、中国のメモリ成長戦略の展望に関するレポートを2年連続で発表している。Objective Analysisの主席アナリストを務めるJim Handy氏によると、中国は2015年までは、国内で使用する半導体の生産を増やすことに躍起になっていたという。

 Handy氏は、「中国が以前、半導体市場に参入した際は、参入の主な理由は他国と競争することだった。だが、今回の参入理由は、メモリを自給自足することだ」と述べている。

中国の半導体消費量の推定値 出典:Objective Analysis

 では、なぜ今なのか。Handy氏によると、中国に対する米国の関税が中国に緊迫感を与えているという。具体的には、2018年4月に中国の携帯電話機メーカーであるZTEに制裁が課されたことが影響している。ZTEが米国財務省の外国資産管理局(OFAC)の制裁リストに掲載されているイランと北朝鮮に携帯電話機の部品を出荷していることが判明したことから、米国政府は、米国企業による同社への半導体出荷を禁止するという制裁を課した。その結果、ZTEは、可能な限り米国に依存しない体制を講じた。ZTEが中国製のチップを使っていたら、米国は、制裁対象国の顧客へのサービスの提供を阻止する別の手段を講じていただろう。

 Handy氏は同レポートの中で、「中国政府が関心を持っているのは、世界にメモリチップを供給することではなく、1170億米ドルの半導体購入における外国企業への依存を減らすことだ」と指摘している。同レポートはさらに、「中国の新しい半導体推進力の論理的根拠は健全でよく考えられており、世界の半導体市場に“非常に顕著な影響”を与えることになるだろう」と述べている。

 さらに中国には、自給自足以外にも、(中国にはまだない)バリューチェーンで生み出される利益を獲得したいという願望もある。これについては、「中国製造2025」イニシアチブで詳述されている。2015年には、中国で消費される半導体のうち国内で生産されているのは20%未満だった。

 このため中国は、これらの数字を2020年までに40%、2025年までには70%にしたいという攻撃的な目標を掲げている。また、アジア太平洋地域の売上高は、過去40年間で明確に成長を遂げており、他の地域が低迷傾向にあることを受け、世界半導体売上高全体の半分以上を占めるまでになった。アジア太平洋地域の成長分野において大きな役割を担っているのが、中国である。

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