組込みシステム技術協会(JASA)が「ET/IoT Technology 2019アワード」の受賞社を発表した。最高賞のグランプリはスタートアップ企業であるIdeinが獲得した。
組込みシステム技術協会(JASA)は2019年10月31日、優れた組み込み技術製品、ソリューション、サービスを表彰する「ET/IoT Technology 2019アワード」の受賞社を発表した。最高賞のグランプリは、スタートアップ企業であるIdeinの「Actcast(アクトキャスト)」に決まった。同時に、ET/IoT Technologyアワードの新ロゴデザインも発表した。
ET/IoT Technology 2019アワードは、2019年11月20〜22日にパシフィコ横浜で開催される、組み込みとIoT(モノのインターネット)技術の総合展「Embedded Technology 2019/IoT Technology 2019(ET/IoT Technology 2019)」へ出展する企業を対象に実施された。
今回は出展社から50件の応募があり、下記の企業と製品がET/IoT Technology 2019アワードを受賞した。
賞名 | 受賞社名 | 受賞製品 | 概要 |
---|---|---|---|
ET/IoT Technologyアワード グランプリ |
Idein | エッジコンピューティングプラットフォーム「Actcast」 | Raspberry Piを用いエッジにおける深層学習を可能にした |
Embedded Technology 優秀賞 |
東京理科大学、タニタ、筑波大学、理化学研究所、アイシン、コスモス研究所 | 体液から発電可能なバイオ燃料電池を搭載した「ウェアラブルヘルスケアデバイス」 | 汗中の乳酸や尿糖から発電し自己駆動により濃度をモニタリング |
IoT Technology 優秀賞 |
富士電機 | 電池レス無線SAW温度センサー | 200℃以上の高温・高ノイズ環境で無線温度測定が可能に |
Edge Technology 優秀賞 |
アラヤ | ニューラルネットワーク自動圧縮ツール「Pressai」 | 高い精度のまま、ニューラルネットワークのモデルを最大32分の1に圧縮 |
ET/IoT 奨励賞 |
アイオーティドットラン | IoTデバイス「Tibbo-Pi(ティーボパイ)」 | 簡単に学べ、すぐ試せて、そのまま導入できる |
アットマークテクノ オープンソースプロジェクト「Degu プロジェクト」 |
IoT センサー技術「Degu(デグー)」 | センサー機能を選んでPythonで作るーDIY感覚で実現するIoTセンサー | |
スマート エネルギー 優秀賞 |
Tesla Motors Japan | 家庭用蓄電池「Powerwall」 | 本体と管理システムで価格は99万円、従来の約3分の1 |
JASA 特別賞 |
IOEZ | AI Care Power Syste | ToFセンサーを用いた病院、介護施設向け監視ソリューション |
ET/IoT Technology 2019カンファレンス委員会委員長で、アワードの審査委員長を務めた山田敏行氏は、「今回は満場一致でグランプリが決まった」と話す。その背景にはIdein独自の高い技術力だけでなく、マーケットプレースの構築など、ビジネスモデルもしっかり打ち出してきたことが高く評価された。「Ideinはスタートアップ企業ではあるが、いずれブレークスルーをする可能性を持った企業である」と述べた。
Ideinのエッジコンピューティングプラットフォーム「Actcast」は、Raspberry Piに搭載されたSoCのGPU機能を活用し、エッジにおける深層学習を可能にするソリューションである。Actcastはソフトウェア開発キット(SDK)の他、エッジを管理、運用する機能やエッジAIアプリケーションのマーケットプレースなどで構成される。
山田氏は、「産業分野でRaspberry Piが活用されるという新たな動きと、ハードウェアにもオープンプラットフォームの動きが出てきた」ことも指摘した。会見会場では、病院や介護施設などにおけるプライバシー保護も想定しつつ、Actcastを用いエッジ側で患者の行動(転倒など)を自動的に監視するデモを行った。
この他、「ET/IoT 奨励賞」と「スマートエネルギー優秀賞」も今回は新たに設けた。ET/IoT 奨励賞は、アイオーティドットランのIoTデバイス「Tibbo-Pi(ティーボパイ)」と、アットマークテクノ/オープンソースプロジェクト「Deguプロジェクト」のIoTセンサー技術「Degu(デグー)」が受賞した。いずれも、IoTの裾野拡大に貢献する技術とみている。
スマートエネルギー優秀賞は、Tesla Motors Japanの家庭用蓄電池「Powerwall」が受賞した。蓄電容量が13.5kWhで、4人世帯が約1日暮らせる容量だという。太陽光で発電したエネルギーを自家消費するためには蓄電池が必要となる。Powerwallは本体と管理システムの価格が99万円と極めて安い。台風などによる停電対策が喫緊の課題となる中で、競合製品に比べ約1/3という価格帯も高く評価された。
なお、今回アワードを受賞した技術やソリューションは、ET/IoT Technology 2019会期中、各出展ブースに展示される。会期2日目(2019年11月21日)には、アワード受賞者によるプレゼンテーションと授賞式が、展示会場内で行われることになっている。
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