損害保険ジャパン日本興亜と理化学研究所革新知能統合研究センターは、機械学習技術を活用して自動車走行データを解析する技術を開発した。
損害保険ジャパン日本興亜(損保ジャパン日本興和)と理化学研究所(理研)革新知能統合研究センター(AIPセンター)は2019年11月、機械学習技術を活用して自動車走行データを解析する技術を開発したと発表した。損保ジャパン日本興亜は、解析で得られたデータを基に、交通事故削減に向けた高度なサービスを運転者に提供していく。
損保ジャパン日本興亜はこれまで、顧客が所有するスマートフォンやドライブレコーダーから得られる膨大な自動車走行データを活用した、いくつかの「安全運転支援サービス」を提供してきた。「スマイリングロード」や「ポータブルスマイリングロード」「DRIVING!(ドライビング!)」と呼ぶサービスである。
こうした中、機械学習技術に関して同社は、理研AIPセンターと2018年3月より共同研究を行ってきた。今回発表した「運転データによる大規模ドライバー識別技術」と「多重比較補正を利用した統計的軌跡マイニング技術」は、共同研究の成果である。
「運転データによる大規模ドライバー識別技術」は、スマートフォン用カーナビアプリ「ポータブルスマイリングロード」で収集した運転データを用い、数千人規模の運転手を対象とした大規模識別問題を機械学習で解析した。
これによって、1台の車両を複数の運転手が共有して運行している場合でも、当該運転手を識別して運転データを分類し、運転手ごとの運転診断を行うことができるという。最大1万人を対象として実施した識別実験でも、高い精度で運転手を識別できることが分かった。
「多重比較補正を利用した統計的軌跡マイニング技術」では、「Stat-DSM(Statistically Discriminative Sub-trajectory Mining)」と呼ばれる手法で、「Trajectory Mining」における統計的信頼度を評価した。
属性が異なるグループ(例えば、事故歴のあるドライバーと無事故のドライバー)の移動軌跡パターンがあれば、その差異を調べる。特徴的な軌跡パターンを検出する場合、観測データに含まれる誤差を軽減するため、統計的な評価をしながら軌跡パターンの抽出を行う必要があるという。Stat-DSMは、木のような形状をしたデータ構造に軌跡パターンを格納し、統計的推論を行うことで、大規模なデータの計算を可能にした。
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