図3に、DRAMの企業別売上高シェアの推移を示す。2012年にエルピーダメモリが倒産し、2013年に米Micron Technologyに買収されて以降、DRAMは実質的に、Samsung Electronics(43.5%)、SK Hynix(29.2%)、Micron(22.3%)の3社に集約され、3社合計で2019年第4四半期(Q4)に95%のシェアを独占している(カッコ内は2019年Q4のシェア)。
韓国はコロナの感染者数の抑制に成功しており、SamsungもSK HynixもDRAMの量産工場は問題なく稼働している。また、Micronも、広島工場(旧エルピーダ)、台湾Rexchip ElectronicsおよびInotera Memoriesは、それぞれの地域でオーバーシュートが起きていないこともあって、量産工場は稼働を続けている。
上記の中で、最もコロナの影響を受ける可能性が高かったのが、SK Hynixの中国江蘇省の無錫工場であろう。しかし、工場稼働に問題は起きておらず、逆に4月18日に、9500億ウォンを投じて工場を1.5倍に拡張すると発表している(MK NEWS、4月22日)。
一方、NANDはどうだろうか(図4)。シェアの高い順から、Samsung(35.5%)、キオクシア(18.7%)、Western Digital(WD、14.7%)、Micron(11.3%)、Intel(9.7%)、SK Hynix(9.6%)となっている(カッコ内は2019年Q4のシェア)。
この中で、Samsungの中国西安工場が最も危険だったかもしれないが、工場の稼働率が落ちたという話は聞こえてこない。もちろん、韓国の量産工場でのNAND製造には影響は出ていない。SK Hynixも同様と思われる。
また、キオクシアとWDの四日市工場も、一部にテレワークを導入したり、出勤する際は体温を測定したりするなど、コロナ対策を行いながら工場を稼働させている。Micronの主力工場があるシンガポールでは、コロナの死亡者が6人しか出ておらず、台湾と同様にコロナを制御できており、NAND工場の稼働には影響がない。
ここまでをまとめると、コロナ禍にあっても、DRAMとNANDの製造は順調に行われていると言えるだろう。
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