Appleが2020年4月24日に発売した第2世代「iPhone SE」を分解。そこでは、新旧のiPhoneに使われている技術をうまく組み合わせる、Appleの妙技が光っていた。
2020年4月24日、Appleから廉価版のスマートフォン「iPhone SE(第2世代)」が発売された(以下、特に記載がない限り、iPhone SEは全て第2世代を指す)。初代に比べて二回りほど大きい4.7型ディスプレイと、現在は高級機(「iPhone X/XS/11/11Pro」)では非採用となった指紋認証のホームボタンが備わっている。年間数十機種の最新スマートフォンを実際に手に取り、分解している筆者の実直な感想は、「この小ささはセカンド機として最適」というものであった。最近のスマートフォンは6型前後のディスプレイがほとんど。5型を下回るサイズは非常に持ちやすく携帯しやすいことが、あらためて分かったのだ。
筆者は約1カ月、コロナ影響で完全自粛生活中だ。しかしながら外出しないわけでなく近所を散歩したり、買い物に行ったりする。その際、普段使っているiPhone11 Proはやや大きいので持ち歩かない。iPhone SEならば胸ポケットにも十分入るので持ち歩く気にもなる。ディスプレイサイズはわずか1インチ、重さは40gしか変わらないが、この差は大きいのではないかと思う。しかもiPhone SEは4万円台からという低価格。これもまた、セカンド機に最適という理由の一つになるだろう。
図1は発売当日に入手したiPhone SEの梱包箱、外観、裏面のカバーを外した様子である。カメラは12Mピクセルの単眼で、高級機に備わっている顔認証は存在せず、代わりにホームボタンがある。やや懐かしい形状だ。最近のスマートフォンは中国製のミドルレンジモデルでもデュアルカメラ、トリプルカメラが当たり前、ホームボタンも廃止され指紋認証が主流だからだ。
図1の右はAppleの多くのスマートフォンと配置が一致したものになっている。上部にはカメラ、マイクロフォンが設置され、左中は電池、右中がコンピュータ基板、下部にはTAPTIC(バイブレーションモーター)、スピーカー、マイクロフォンとLightningの端子が備わっている。
図2はiPhone SEの内部の部品を取り出し並べたものである。上記の電池やコンピュータ基板などを取り外すと、それらの下に非接触充電用のコイル、音量などのサイドボタンにつながるフレキシブル配線などが現れる。これ以外には、ディスプレイ側にインカメラ、スピーカー、指紋認証のホームボタンが備わっている。これらが小さな筐体の中に隙間なく収まっているわけだ。
図2の時点では、高級機との差は、ほとんどない。スマートフォンの必須デバイスは全てそろっている。カメラの個数、スピーカーのサイズ、バッテリー形状などについては、Appleの高級機と比べれば“先祖帰り”とも言えるやや古い感は否めないが、むしろシンプルで分解も非常に楽であった。
弊社ではカスタムでプロセッサだけとかメモリだけを取り出してほしいというような分解依頼も承っており、iPhone11 Proは10台以上分解しているが、そこそこ時間がかかる。しかしiPhone SEは発売当日に2台分解したが、所要時間はほぼ10分という短さであった。アッという間に図2の状態になる(ちなみに2台目の時間、1台目は分解の全工程を写真撮影しながらなので1時間半ほどかかっている)
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