富士通の2019年度売上高は3兆8578億円(前年比2.4%減)、営業利益2115億円(同813億円増)、当期利益1600億円(同555億円増)であった。
テクノロジーソリューション部門のサービスは、海外が低調だったが国内の産業・流通、公共系のソリューションSIが増収増益に貢献した。同部門のシステムプラットフォームは、メインフレームの商談増加、5G関連の需要増で国内を中心に増収増益だった。ユビキタスソリューション部門は、Windows7サポート終了に伴うPC需要増、リストラ効果によるコストダウンで黒字転換を果たした。デバイスソリューション部門は、三重工場売却に伴う売上減で、実質的には減収増益だったが、リストラなどによるコスト負担が111億円増加したため、若干の赤字を計上した。
2020年度の見通しは、コロナウィルス感染の影響が不明確なため、正式な公表を見送った。ただ、NECと同様にデジタル化、リモート化、オンライン化などが富士通にもプラスに働く可能性がある。さらにユビキタスソリューション部門やデバイスソリューション部門のリストラ効果が認められた点はポジティブに評価できるが、全体的に海外事業が低迷している点は課題だろう。
パナソニックの2019年度売上高は7兆4906億円(前年比6.4%減)、営業利益2938億円(同1177億円減)、当期利益2400億円(同1254億円減)であった。
アプライアンス部門は、空調が良かったが、スマートライフネットワーク(かつてのAVC製品が中心)が不振で、コロナの影響もあり、減収減益になった。ライフソリューションズ部門は、パナソニックホームズの非連結化に伴う減収があったが、事業譲渡益に加えて住宅関連事業の増益もあり、大幅増益になった。コネクティッドソリューションズ部門は、プロセスオートメーションやアビオニクスが減収になり、コロナの影響もあって若干の減益になった。オートモーティブ部門は、市況の低迷にコロナの影響が追い打ちをかけ、赤字幅が拡大してしまった。インダストリアルソリューションズ部門は、中国向け需要の低迷にやはりコロナの影響が追い打ちをかけ、減収減益になった。
2020年度の見通しは、コロナの影響が不明確なため、正式な公表を見送ったが、相対的に大きな下振れリスクを覚悟する必要がありそうだ。すでにアプライアンス、コネクティッドソリューションズ、オートモーティブ、インダストリアルソリューションズの各部門で影響が確認されており、ライフソリューションズ部門もインド、マレーシア、メキシコ工場の停止が影響し始めているもようである。
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