米国のサーバメーカーであるSupermicroは、2019年末にデータセンターの環境対策に関する年次調査を発表し、エネルギーの効率化に関するさまざまな機会について明らかにした。Supermicroでマーケティングおよびネットワークセキュリティ担当バイスプレジデントを務めるMichael McNerney氏は、「これらの機会は見逃されている」と指摘する。
McNerney氏は、「当社は、顧客企業に多くの価値を提供できる基本的なベストプラクティスがいくつかあると考えている」と述べている。長年データセンターを運用してきた人には意外なことかもしれないが、同社が現在構築しているシステムは従来のデータセンター環境よりも高温での運用が可能だという。
現在の機器設計では、性能と信頼性を維持するために通常冷却を23〜25°Cの間に維持する必要はなくなっている。一部のグリーンデータセンターは極端な温度で運用されているが、わずかな変化であっても空調の利用を減らすことでエネルギーの削減につながる。
エネルギーを削減するもう一つの方法は、共有インフラで複数のサーバを運用するマルチノードシステムだ。この構成によって、必要となる大型電源やファンの数を削減することができる。マルチノードシステムは、よりエネルギー効率が高く、より高温での運用が可能で、より高い電力密度を提供できる。
Supermicroの調査では、現在1ラック当たりの平均電力密度は15kW、サーバの吸気口温度は23.5℃で、サーバは4.1年ごとに更新されていることも明らかになった。高度に最適化されたグリーンデータセンター(調査回答者の12%が運用)では、1ラック当たりの電力密度は25kWを超え、吸気口の平均温度は26.5℃で、サーバは2〜3年ごとに交換されている。つまり、「ほとんどのデータセンターではエネルギー効率の最適化に関して、まだ取るべき策はある」とSupermicroは結論づけている。
驚くべきことに、ほとんどの回答者は、消費エネルギーを重要な成功指標と考えていなかった。McNerney氏は、「調査では、企業の設備予算は、ハードウェアの取得コストやシステムの資本取得コストとも、人員コストとも別であることが分かった。これは認識されてはいるが、必ずしも全てが総合的に最適化されているわけではない」と述べている。
同氏は、「大規模データセンターでは総所有コストに対する洞察は進んでいるが、そうだとしても、資本取得予算を増やすことでエネルギー予算を削減できるかどうか関しては、難しい場合がある」と指摘している。
McNerney氏は、データセンター全体の消費電力がすぐに減少することはないと見ている。
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