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「11インチiPad Pro」のLiDARスキャナーを分解ソニーのCISを採用(2/3 ページ)

» 2020年06月09日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

11インチiPad Proに採用されているソニーのCIS

ソニーのCMOSイメージセンサーの断面図 画像:System Plus(クリックで拡大)

 上の図は、ソニーのCMOSイメージセンサーの断面図で、フォトニクス関連の調査を手掛ける専門家たちに向けて公開されたものだ。Yole DéveloppementのCambou氏もその1人である。同氏は最近のブログに、「旧型の10ミクロンピクセルiToF設計に似ているように見えたが、史上初のインピクセル接続コンシューマーCMOSイメージセンサーであることが判明した。これは、単一光子アバランシェダイオード(SPAD:Single Photon avalanche diode)アレイだ」と書いている。

 「インピクセル接続」は、重要なキーワードである。Hallereau氏は、「ソニーは、ToFセンサー向け3Dスタッキングを利用して、NIR CMOSイメージセンサーとSPADを初めて統合した。インピクセル接続によって、CMOSイメージセンサーをロジックウエハーと一緒に集積できるようになった。さらに、ロジックダイを統合したことで、イメージセンサーでiPadとオブジェクトの間の距離を簡単に計算できるようになった」と説明している。

 ソニーは、日本のCMOSイメージセンサー大手として、センシングよりもイメージングを多く手掛けてきた。しかし、Cambou氏が言うように、「ソニーは2019年に、半導体事業部門の名称を“イメージング&センシングソリューション(I&SS)“に変更し、それ以降同部門は別々の2つの事業を行ってきた」。1つは、HuaweiとSamsung ElectronicsへのiToFセンサーの提供で、2019年の売上高は3億米ドルに上る。そして、もう1つが、AppleのiPad向けdToFセンサーのデザインウィン獲得だ。

 Cambou氏は、ゆくゆくはiPhoneにもdToFセンサーが搭載されるのではないかと考えているという。同氏は分析レポートの中で、「イメージングからセンシングへの移行がこのように成功したことは、CMOSイメージセンサー市場におけるソニーの継続的な強みになっており、同事業の将来的な成功の礎となるだろう」と述べている。

 LiDARには、ソニーのCMOSイメージセンサーの他、LumentumのVCSELが搭載されている。同レーザーは、エミッタアレイに複数の電極が別々に接続された形で設計されている。

 System Plusで技術およびコストアナリストを務めるTaha Ayari氏は、LumentumがVCSELに追加したメサコンタクトと呼ばれる新しい加工ステップに注目している。VCSELはウエハー表面から光を放射するが、この放射を微調整するために、電力管理とエミッタアレイのさまざまな制御を行うアプリケーションが必要となる。

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