パワーエレクトロニクスでは、GaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化ケイ素)などのワイドバンドギャップ(WBG)デバイスの採用が進んでいる。シリコンは依然として市場を独占しているが、GaNやSiCデバイスの登場によって、技術はより効率的な新しいソリューションに向かうと予想される。
パワーエレクトロニクスでは、GaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化ケイ素)などのワイドバンドギャップ(WBG)デバイスの採用が進んでいる。シリコンは依然として市場を独占しているが、GaNやSiCデバイスの登場によって、技術はより効率的な新しいソリューションに向かうと予想される。フランスの市場調査会社であるYole Développement(以下、Yole)は、2025年までにSiCデバイスの売上高は市場の10%以上を、GaNデバイスは2%以上を占めると予想している。
SiCパワーデバイスのサプライヤーとしてよく知られるのは、STMicroelectronicsや米CreeのSiC事業であるWolfspeed、ローム、Infineon Technologies、ON Semiconductor、三菱電機などだ。Yoleは、GaNデバイスの主要企業として、Power Integrationsや Infineon Technologiesの他に、Navitas SemiconductorやEfficient Power Conversion(EPC)、GaN Systems、Transphormなどの革新的な新興企業も挙げている。
コストの最適化によって、多くの企業がSiC基板の適正供給に向けたビジネスモデルを展開できるようになった。2018〜2019年にかけて、STMicroelectronicsやInfineon、ON Semiconductorなどの企業が、CreeやSiCrystalなどのSiC基板の主要サプライヤーと基板供給の複数年契約を結んでいる。パワーGaN業界では、量産市場に対応するために、TSMCやX-Fab、Episil Technologiesなどの定評のあるファウンドリーと協業することがトレンドの一つとなっている。
EE Timesは、Yoleの技術および市場アナリストであるEzgi Dogmus氏にインタビューし、GaNとSiCが現時点でビジネスを勝ち取っている市場と、今後採用される可能性が高い業界について尋ねた。
EE Times:自動車市場向けのGaNコンポーネントの現状を教えてほしい。
Ezgi Dogmus氏:GaNコンポーネントにはさまざまなタイプがあり、アプリケーションや電力範囲によって技術ソリューションが異なる。特に自動車市場では、さまざまな関係者によって低電圧(100V以下)と高電圧(650V以上)の両方が開発されている。低電圧GaNデバイスがマイルドハイブリッド電気自動車の48Vから12VへのDC-DC変換を対象としているのに対し、650VのGaNデバイスは電気自動車のオンボード充電を対象としている。
EE Times:現在、GaNとSiCはどのセグメントでビジネスを獲得しているのか。また、最も多く採用されているのはどの業界か。
Dogmus氏:SiCパワーデバイスの主要市場は電気/ハイブリッド車セグメントで、同セグメントがSiC市場の成長を主にけん引していくと予想している。GaNは、ハイエンドスマートフォンの高電力急速充電器で採用され始めている。今後5年間は、こうした民生機器でGaNの普及が進むと見ている。
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