TDKは2020年6月30日、ASIL-Dに対応した新しいTMR(Tunnel Magneto Resistance)角度センサー「TAD4140」を発表した。主に自動車、産業機器向けの製品で、既存の「TAD2141」に比べて冗長性を確保していることが特長だ。
TDKは2020年6月30日、ASIL-Dに対応した新しいTMR(Tunnel Magneto Resistance)角度センサー「TAD4140」を発表した。主に自動車、産業機器向けの製品で、既存の「TAD2141」に比べて冗長性を確保していることが特長だ。
TAD4140は、2つのTMRセンサー素子と2つの信号処理用ASICを、TSSOP16パッケージ(サイズに収めたもの。TAD2141は、同じパッケージにTMRセンサー素子とASICを1個ずつ搭載しているが、TAD4140ではそれぞれ2個に増やした。これによって、分離独立した2つの出力系統を持つことになり、特に自動運転に必要とされる冗長性を確保している。TDKは「HDDやカセットテープなど磁気を使用するアプリケーションで培ったノウハウで、小型かつ冗長性を持ったTMR角度センサーを実現できた。従来のレゾルバーを2個使用して冗長性を実現しようとすると、サイズの問題で難しい場合がある。TAD4140は、そのような従来のアプローチの置き換えを狙う」と説明する。
TAD4140は、−40〜150℃において最大360度の回転動作を非接触で検知する。ずれを補正するキャリブレーション機能も搭載していて、使用温度範囲全域で±0.35度、室温では±0.05度という角度精度を達成した。
デジタル出力信号は、UVW出力、12ビットまでのインクリメンタルエンコーダー(ABZ)出力、PWM(パルス幅変調)出力、4線式SPIを利用できる。さらに、2つの異なる信号(ABZ、ENCなど)を同時に出力して、速度、方向、モーターの位置を同時に計測することも可能だ。
TAD4140とTAD2141は、同じTMRセンサー素子とASICを用いているので、性能面での大きな差異はない。両製品はパッケージと端子の互換性を確保しているので、冗長性を求めてTAD2141からTAD4140に容易に置き換えられる。反対に、例えばコスト低減のためにTAD4140からTAD2141へと置き換えることも可能だ。
TDKによれば、TAD2141は、自動車のEPS(電動パワーステアリング)で既に多くの採用実績があるという。「EPSは、TMR角度センサーを最初に採用した車載アプリケーションだ。2015年に発売されたモデルに最初に搭載されていて、現在開発が進んでいるモデルのEPSは、TMR角度センサーを採用しているものが多いのではないか。産業機器では、ロボットやドローンに使われ始めている」(同社)
TAD4140はサンプル出荷を開始していて、量産は2020年第4四半期を予定している。価格は要問い合わせ。量産規模については「(レベル3以上の)自動運転車の市場規模の変化に合わせていく予定」だという。
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