広告のうたい文句と“実際の中身”が違うことは、程度の差はあれ、あることだ(その良しあしについては言及しない)。今回は、インターネット広告でよく見かける“蚊よけブレスレット”を分解し、宣伝文句との違いを比較してみた。
米中問題が激化する中にあっても中国メーカーからは続々と新製品がリリースされている。5G(第5世代移動通信)スマートフォンは廉価版の5万円以下という価格帯のモデルがOPPO、VIVO、Xiaomi、Lenovo、ZTE、Huaweiなどからリリースされ、日本でも多くが販売されている。TV、ワイヤレスオーディオ、電源アダプター、カーナビゲーションシステムなどさまざまな中国製の製品が日本市場にあふれている。今や多くの最終製品が「Made in China」であることは一般的となっているが、内部の部品や半導体チップまで徐々に、そして確実に中国製が増えていることは、本連載で伝えてきた通りである。
当然ながら中国メーカーは洗濯機、冷蔵庫、調理家電などの白物家電も多く発売している。Hisense(ハイセンス)やHaier(ハイアール)などの他、ホームセンターや家電量販店でもよく見かけるようになっていて、こうした製品も組み立てだけでなく、搭載されている部品も中国製が増えている。
スマートフォンビジネスで成長した中国Xiaomiは2015年以降、ウェアラブルやTV、スマートスピーカーなどの分野にも続々と製品を投入し、売り上げを伸ばしてきた。各種白物家電も発売している。通信機能を持った電子レンジ、ミキサーなども手掛けている。
今回は、日本でも話題になったXiaomi製のIoT(モノのインターネット) IH炊飯器を取り上げる。本製品がアナウンスされたのは2019年後半。だが、なかなか日本では入手できず、ようやく購入できたのは2020年3月であった。弊社では中国からの直接買い付けも行っているが、本製品は日本での販売開始を待って入手したものである(日本語対応やマニュアル付き)。
図1はXiaomiのIoT IH炊飯器の梱包箱、外観、内部の電子ユニットを取り出した様子である。内部には厚さ3mmの本格的な厚釜が使われている。Wi-Fiを介してスマートフォンと連動する機能が備わっていて、スマートフォンから操作したり、レシピを確認したり、時間を管理したりと、従来の“スタンドアロン”な炊飯器にはない使い方ができる。
内部は電熱線、電源管理機能、コントロール基板と放熱用の空冷ファンで構成されている。炊飯器なので内部は高熱になる。そのため基板には空冷ファンだけでなくヒートシンクや放熱シートなど万全な熱対策が施されている。
図2にIH炊飯器のコントロール基板を示す。裏側が電源機能になっている。電源側も合わせると多くの中国チップが採用されている。スマートフォンとの通信に使用されるWi-Fiチップには、他のIoT機器でも多数採用される中国Espressif SystemsのWi-Fiマイコンが採用されている。基板の右上だ。
炊飯器の上部にはLEDを用いた文字や数字を表示する機能があり、LEDのドライバーには中国Wuxi I-core Electronicsのチップを採用している。
他の中国製代物家電と同様、電源系にも多くの中国チップが並んでいる。中国製品では現在、内部も“内製化”が進んでいるわけだ。
米中問題によって中国の内製化はますます進むものと思われるが、現時点でも内製率の高い製品が多い。2018年から顕著になった米中問題の行く末は読み切れないが(弊社にはさまざまなルートから多くの情報が入ってくるのである程度の予想はできている)、中国が止まることはない。半導体、システムなどの中国内製化は進む。変化を網羅的に捉えるためにも、エビデンス観察を強化する必要性が高まっている。サプライチェーンの変更など日本メーカーにも大きな影響が及ぶ分野でもあるからだ。今後弊社は従来以上に中国製品を入手し内部調査を強化していく予定である。(仕入れには従来のほぼ3倍の予算を確保した!!!)
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