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コロナ影響は? 今年度見通しは? 電機大手8社の4〜6月決算分析大山聡の業界スコープ(32)(4/4 ページ)

» 2020年08月18日 11時30分 公開
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強気の年度計画を掲げるシャープ

 シャープの2020年度第1四半期は、売上高5172億円(前年同期比23億円増)、営業利益90億円(同56億円減)、当期利益79億円(同46億円減)だった。

出典:シャープ決算資料を基にGrossberg作成

 スマートライフ部門は、コロナの影響で売上高が190億円、営業利益が30億円それぞれ下振れたものの、微増収増益を達成している。巣ごもり需要で空気清浄機や自動調理鍋などが好調を維持している。8Kエコシステム部門は、コロナの影響で売上高が420億円、営業利益が140億円下振れたため、赤字に転落した。中小型パネルの出荷はスマホ向けを中心に落ち込んでいるが、同社はこれが今後回復に向かうと見ている。ICT部門は、コロナの影響の売上高が20億円、営業利益が10億円それぞれ上振れたが、前年からは減収減益となっている。特に複合機の需要が在宅勤務の影響で落ち込んでおり、しばらく厳しい見通しが続く。

 2020年度の会社計画は、売上高2兆3500億円、営業利益820億円、当期利益500億円としているが、8Kエコシステム部門の赤字が継続する限り、ハードルの高い数値と言えよう。

スマホ向けイメージセンサーが大幅減益のソニー

 ソニーの2020年度第1四半期は、売上高1兆9689億円(前年同期比432億円増)、営業利益2284億円(同25億円減)、当期利益2333億円(同811億円増)だった。

出典:ソニー決算資料を基にGrossberg作成

 ゲーム&ネットワークサービス分野は、ゲームのソフト・ハードともに巣ごもり需要で増収増益だった。音楽分野はコロナの影響は軽微だったが、映画分野は広告宣伝費の減少で増益となった。エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野は、デジカメやテレビの需要減で減収減益となった。イメージング&センシング・ソリューション分野もコロナの影響で減収減益となったが、研究開発費の増加や減価償却費の増加も今期の減益要因となっている。金融分野はソニー生命の減益を損保と銀行の増益がカバーし、増収増益となった。

 2020年度の会社計画は、売上高8兆3000億円(前年並み)、営業利益6200億円(前年比2255億円減)、当期利益5100億円(同722億円減)としており、ゲームと金融分野以外は減収減益の見通しである。特にイメージング&センシングソリューション分野は、営業利益計画が1300億円(同1056億円減)と厳しい見通しとなっており、Huaweiスマホ向けのイメージセンサー需要激減、といった影響が懸念されている。

総括

 今回の決算で、コロナの影響がIT事業には軽微であること、自動車、FAを中心とする産業機器事業には極めて大きいことが再確認されたが、リモートワークの推進で複合機のようなオフィス需要が減退していること、メモリ以外の半導体需要が低迷していること、なども確認された。東芝に限らず、ルネサス エレクトロニクス、ロームなど、日本の半導体メーカーは自動車や産業機器分野に特に注力しているため、コロナの影響の影響が目立ったようである。

筆者プロフィール

大山 聡(おおやま さとる)グロスバーグ合同会社 代表

 慶應義塾大学大学院にて管理工学を専攻し、工学修士号を取得。1985年に東京エレクトロン入社。セールスエンジニアを歴任し、1992年にデータクエスト(現ガートナー)に入社、半導体産業分析部でシニア・インダストリ・アナリストを歴任。

 1996年にBZW証券(現バークレイズ証券)に入社、証券アナリストとして日立製作所、東芝、三菱電機、NEC、富士通、ニコン、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソニー、パナソニック、シャープ、三洋電機などの調査・分析を担当。1997年にABNアムロ証券に入社、2001年にはリーマンブラザーズ証券に入社、やはり証券アナリストとして上述企業の調査・分析を継続。1999年、2000年には産業エレクトロニクス部門の日経アナリストランキング4位にランクされた。2004年に富士通に入社、電子デバイス部門・経営戦略室・主席部長として、半導体部門の分社化などに関与した。

 2010年にアイサプライ(現IHS Markit Technology)に入社、半導体および二次電池の調査・分析を担当した。

 2017年に調査およびコンサルティングを主務とするグロスバーグ合同会社を設立、現在に至る。


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