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» 2020年08月19日 12時45分 公開

RISC-V International CTOに聞く「課題や地政学的影響」本拠地はスイスに移転(2/3 ページ)

[Nitin Dahad,EE Times]

RISC-Vを用いる設計の課題は

EE Times RISC-Vを用いた設計における現在の課題は?

Himelstein氏 何をいつ本格的に展開するのかという質問に関しては、どのような“滑走路”が必要とされるかによって大きく左右される。必ずしも、LinuxのようにOSを作る必要はなく、ハードウェアの開発スケジュールによる制約もあまり受けることがない。

 ただしソフトウェアの場合は、既存のハードウェア上でソフトウェアをリリースするため、新しいハードウェアが登場すれば、ソフトウェアを構築することになる。このため、新しいハードウェアを構築する場合、新しいソフトウェアはそれに確実に追い付いていなければならない。だが、例えば汎用エンタープライズコンピュータや、マルチプロセッサ、マルチソケットなどが、かなりの大規模なエコシステムを必要とするであろうことは容易に想像できる。

 IoTやクラウドサーバ、HPC(High Performance Computing)などを推進していく場合、それを実現するためには、アプリケーションリストが小さくなる。現在、このための対応を進めており、最初に実現できる見込みだ。

EE Times RISC-Vが普及するには、どのような課題があるのか。RISC-Vはメリットがあるにもかかわらず、なぜ十分に活用されていないのか。

Himelstein氏 RISC-V Internationalには600のメンバーがいるが、そのうち120のメンバーはハードウェア(最終的には装置/機器になる)やコアの開発に携わっている。ハードウェアはソフトウェアとは違って開発期間が長いため、完成まで時間がかかる。プロトタイプを作製し顧客がそれを試してみるという工程を、何度か繰り返さなければならない可能性もある。これら全ての工程は、Linuxのバグを修正するよりはるかに時間がかかる。

 一方、IoTは、アーキテクチャの面で進んでいる。IoT機器では、RISC-V SoC(System on Chip)の採用が進んでいる。ツールベンダーの数も多い。RISC-V InternationalのWebサイトに掲載しているソフトウェアやコア、開発ボードの品目は続々と増えている。この分野は、インフラが非常に進化している。

 車載チップに関しては、自動車のターンアラウンドタイムが5年で製品ライフサイクルも長いため採用までの時間がかかる。ただし、最下層には問題となることは何もないと考えている。

 RISC-Vの活用に問題を抱えている企業があれば、そこに出向いて問題を解消する支援を行うも私の任務だ。システム開発やソフトウェア開発の豊富な経験と、各企業の特色に関する知識を活用して、あらゆるグループ間の情報の橋渡しを支援していく。

 ローエンドでは特に問題はないが、ハイエンドになるといくつか課題がある。ただし、それは、われわれが製品ライフサイクルのどの段階にいるのかという問題にすぎない。例えば、他のアーキテクチャは多くのバリエーションを作りすぎたために、やるべきことが多くなりすぎて、手に負えなくなってしまっている。私たちは同じ失敗を繰り返さないようにするつもりだ。

EE Times RISC-V Internationalは、エコシステムの支援に向けてどんなことを行っているのか。

Himelstein氏 RISC-V Internationalには、われわれがまとめたプロファイルのコンセプトがある。これらのプロファイルを参照すれば、アプリケーションの互換性などが保証される。これは重要なことだ。実現する道はあり、実現する必要があると確信している。私がRISC-V InternationalのCTOに就任したのは、これを確実に実施するためだ。

 われわれは、RISC-Vのユーザーがイノベーションを起こし、独自の価値を付加し、共通項をコミュニティーと共有できるような計画を確実に実行する必要がある。それに向けて現在、ギャップ分析を行っている。

 それには、ユーザーストーリーが有効だ。誰が使用するのか、なぜ使用するのか、使用することでユーザーがどのようなメリットが得られるのかを正確に見極めなければならない。自動車や通信、金融、石油・ガスなど、RISC-V InternationalがRISC-Vに適したターゲットとして注目し、ユーザーの成功に向けた完璧な情報をそろえているバーティカル市場は数多くある。

EE Times この計画において、他の団体とどのように協力しているのか。

Himelstein氏 RISC-V Internationalは、OpenHW GroupやChips Alliance、OpenTitanなどそうそうたる団体と協力している。このことからも、オープンソースアーキテクチャが必要とされていて、オープンソースアーキテクチャに対する権限や影響力が求められていることが分かる。

 RISC-V Internationalの業務は、ベースとなるISAと関連技術、エコシステムに分けられる。3分の1はISAで、3分の2はエコシステムに関するものである。ブートローダーや構成ファイル、Linuxポート、コンパイラ、セキュリティガイダンスなどは全てエコシステムに含まれる。

 もちろん、この他にもエコシステムに関連することはたくさんある。SoCの共有や開発ボードの共有、セキュリティ関連技術の共有などにも多くの人が携わっていて、RISC-Vはエコシステムのメンバーから高評価を得ている。誰もが、自社のコアをどれだけ使い、他社のコアをどれだけ利用するかを決定しなければならない。

 最初は他社が作製したコアを利用することになるだろう。外部のグループのものか、RISC-V Internationalがロールアウトを支援しRISC-Vのウェブサイトに掲載している35種類ほどのコアのいずれかから選択し、どのようなイノベーションを起こしたいかを決定する。

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