1927年の創業以来、ヒューズやポリマーPTC、TVSダイオードといった回路保護素子を手掛けてきた米Littelfuse。同社の日本法人であるLittelfuseジャパンでは2020年4月、それまで取締役営業本部長を務めていた亥子正高氏が代表に就任した。同氏に、日本での戦略や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響などを聞いた。
1927年の創業以来、ヒューズやポリマーPTC、TVSダイオードといった回路保護素子を手掛けてきた米Littelfuse。2019会計年度の売上高は約15億387万米ドル、純利益は約1億3908万米ドルである。ここ数年は、2018年にIXYSやMonolith Semiconductor(以下、Monolith)を買収するなど、SiCを含むパワー半導体事業も強化している。同社の日本法人であるLittelfuseジャパンでは2020年4月、それまで取締役営業本部長を務めていた亥子正高氏が代表に就任した。同氏に、日本での戦略や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響などを聞いた。
EE Times Japan(以下、EETJ) まずは、Littelfuseジャパンの市場別売上高や、Littelfuse全体の売上高において日本が占める割合について教えてください。
亥子正高氏 2019年度でいうと、Littelfuseジャパンの売上高のほぼ半分を車載が占めている。その他、電子機器/産業機器が33%、(二次電池など)バッテリー用途が18%だった。以前は二次電池向けの保護素子であるポリスイッチが日本の売り上げの大部分を占めていたが、現在、ポリスイッチのビジネスは主に中国と韓国にシフトしており、Littelfuseの中国、韓国担当が手掛けている。そういった背景もあり、日本は車載の売上高が大半を占めている。
Littelfuseの売上高における日本が占める割合は、詳細は公表していないが、2019年度でざっくり7%弱くらいである。地域別では、米国、欧州、アジアでそれぞれ3分の1ずつ占めている。そのため、日本での売り上げをさらに伸ばしていくことがLittelfuseジャパンの重要な戦略となっている。
EETJ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響についてはいかがですか。
亥子氏 2020年の上半期(Littelfuseジャパンの2020会計年度の第1および第2四半期)の売上高で見ると、エレクトロニクス/産業機器は減少しているが、比較的踏みとどまっている。前年同期比で10%減くらいで収まるのではないか。一方で、より直接的な影響を受けているのが車載だ。2020年5月、6月は前年比で半分以下くらいに落ち込んだ。通期で予測するのは、まだ難しい状況だが、年間を通して、車載向けでは前年比2〜3割減は避けられないとみている。
EEJT 日本の売り上げを伸ばしていく具体的な戦略についてお聞かせください。
亥子氏 大きく分けて、回路保護、パワー半導体、センサーという3つの分野で製品展開を図る。当社は幅広い製品ポートフォリオを所有しているので、それをあらゆるアプリケーションに向けて提案していく。
Littelfuseブランドの知名度を上げていくことも重要だ。半導体を手掛けていることも、あまり知られていない。特に、Littelfuseがグローバルで高いシェアを持っている製品については、日本でも同じくらい知名度を上げていきたい。
加えて、品質管理とエンジニアリングサポートも強化する。われわれの筑波事業所ではポリスイッチを製造しているが、Littelfuseの海外拠点で製造された製品の国内使用も含めて、サポートできる体制を整える。
EETJ 特に、どの製品に注力していく予定ですか。
亥子氏 サージ保護製品、パワー半導体、高耐圧ヒューズに注力していく。サージ保護製品としては、グローバルで高いシェアを持つTVSダイオードやダイオードアレイ、セラミック系のバリスタ、保護用のサイリスタが挙げられる。この辺りは分野を問わず、展開していく。
パワー半導体としては、買収したIXYSやMonolithの製品を中心に提案する。IGBT、MOSFETに関しては、IXYSの高耐圧、高容量の製品に強みがある。ゲートドライバーや半導体リレーの製品も持っているので、それらを組み合わせて提案することを考えている。
高耐圧ヒューズは、太陽光発電用インバーターなど高電圧が求められる用途で実績が上がりつつあるので、展開を強化していく。
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