新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが世界中に広まって1年以上が経過した。COVID-19は、200万人以上の死と終わりの見えない経済的ダメージをもたらし、半導体産業のエンドマーケットも世界的に大きな影響を受けた。半導体産業の経済活動と同市場が回復するのにどれくらいの時間がかかるのだろうか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが世界中に広まって1年以上が経過した。COVID-19は、200万人以上の死と終わりの見えない経済的ダメージをもたらし、半導体産業のエンドマーケットも世界的に大きな影響を受けた。半導体産業の経済活動と同市場が回復するのにどれくらいの時間がかかるのだろうか。
国際通貨基金(IMF)が2020年10月に発表した予測によると、経済的ダメージを抑えるために前例のない政策支援が実施されたにもかかわらず、2020年の世界の国内総生産(GDP)は4.4%縮小する見通しだという。2021年の世界経済はGDP成長率5.2%と力強い回復が予想されているが、半導体市場はパンデミックによって悪化している。
フランスの市場調査会社であるYole Développement(以下、Yole)は、イノベーションが半導体と密接に関連しているさまざまな市場(通信およびインフラストラクチャ、モバイルおよびコンシューマー、防衛および航空宇宙、医療、産業、自動車、モビリティ)について分析した結果を公開している。
COVID-19の影響は市場によって大きく異なる。パンデミックは、自動車やノートPC、IoT(モノのインターネット)アプリケーションなど、半導体に大きく依存するデバイスの需要にも同様の影響を及ぼしており、このことが半導体産業に影響している。
Yoleは今後5年間、半導体の需要は飽和状態が続き、半導体市場全体の成長率はわずか1.3%にとどまると予想した。ただし、COVID-19の影響は半導体分野ごとに異なるとみられる。Yoleの予想によると、2020年のコンシューマー市場とモバイル市場ではスマートフォンが3〜9.5%、タブレットが1〜3%減少したという。Yoleの予想の範囲には、今後の健康危機のレベルが予測不可能であることも織り込まれている。ウェアラブルデバイスやその他のIoTデバイスはスマートフォンやタブレットより好調で、最大7%の成長が見込まれるという。
自動車とモビリティは、自動車の需要が劇的に落ち込むことで市場が大幅に縮小する見通しであるため、苦戦すると予想される。自動運転車を手掛けるメーカーは新規プロジェクトを延期するとみられるが、マイナスの予想ばかりではない。自動車の需要が減少する一方で、自動運転や、電気自動車(EV)への移行、より高機能なインフォテインメントシステムにけん引されて半導体の搭載量が増加し、2019〜2025年はCAGR(年平均成長率)1.8%で成長すると予想されている。
民間航空はさらに苦戦を強いられ、今後数年間にわたって大幅なリストラが行われると予想されている。2024年までは民間航空全体で低迷が続く見通しだ。
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