図3は図2同様、2021年1月に発表、発売もされたSamsungのミドルハイ仕様のスマートフォン「Galaxy S21 5G」の分解写真である。背面カバー、非接触充電用のコイル、メイン基板取り出しとプロセッサ拡大を掲載した。プロセッサは前出の2機種とは異なり、自社(Samsung)製のハイエンドプロセッサ「Exynos 2100」が採用されている。
Exynosは2010年に生まれたSamsung独自のプロセッサで、歴代のGalaxyに採用されている。図3ではミドルハイ仕様に採用されているが、ハイエンドにも使われる組み合わせもある。Qualcomm > Samsungという関係ではなく、Snapdragon 888 = Exynos 2100という関係で機種によって使い分けているわけだ。Exynos 2100は、Galaxy S21では8GB LPDDR5と組み合わされるが、12GB版も存在する。Galaxy S21もGalaxy S21 Ultraと同じく2層基板構造となっている。Galaxy S21は、カメラ画素数は上記2機種より若干仕様を落とした64M画素をメインで用いている。
表1は、図1から図3までの3機種をまとめたものである。Xiaomiは1層基板、Samsungは2機種ともに2層基板。カメラはハイエンド機では108M画素、ミドルハイでは64M画素となっている。DRAMはLPDDR5がともに用いられているが、容量が8GB、12GBと異なる。プロセッサもQualcommのSnapdragon 888とSamsungのExynos 2100に分かれている。本報告では触れないが、SamsungはExynos 2100よりも若干仕様を落とした、外販向けのプロセッサ「Exynos 1080」もリリースしている。
Exynos 1080は既に中国スマートフォンにも採用されている。
表2は、SamsungのExynos 2100とQualcommのSnapdragon 888の比較である。弊社では両チップとも開封して解析を行っており、チップ面積も0.01mm単位で正確な測長を行っている。本報告では伏字とさせていただいているが、サイズはぜひテカナリエレポートで確認いただきたい。
両チップはともに、Samsungの5nmプロセスで製造されている。AppleやHuaweiが台湾TSMC製であるのに対し、QualcommとSamsungという強力な2社はSamsungの5nmプロセスを用いているわけだ。
2チップはかなり似通った仕様である。ハイ/ミドル/ロー仕様という3階層のCPUを計8基(ハイ仕様CPU1基、ミドル仕様3基、ロー仕様4基)搭載し、ともに5Gモデムも1チップ化されている。5Gモデムのピーク速度もほぼ同等である。またAIアクセラレーターの演算性能も、26TOPSと同じ数字となっている。使われるGPUやDSPは異なっているが、性能は拮抗している。
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