今回はCPOモジュールの大きな議論となる電気と光の実装インタフェースを述べる。また、2021年2月上旬にCPO CollaborationからJDFの成果として3.2T CPOの要求仕様が公開されたので紹介する。
前回に続き、次世代光インタフェースモジュールとして注目を集めているCPO(Co-Packaged Optics)を解説している。今回はCPOモジュールの大きな議論となる電気と光の実装インタフェースを述べる。また、2021年2月上旬にCPO CollaborationからJDFの成果として3.2T CPOの要求仕様が公開されたので紹介する。
Front-Panel Pluggable(FFP)との比較ではモジュールがBox内に搭載されることによる懸念が示されている。いわゆる、“Flexibility”と“Serviceability”の課題だ。
ESCON、GBIC、SFPという流れの中で、当時の安価なVCSEL(面発光レーザー)の突然の故障に対応した方式として生まれたのがFFPだ。多くの改良が行われ、VCSELの故障率は飛躍的に改善されたが、Hot Pluggableという特性を加え、方式の有用性から「これ以外考えられない」Form Factorとなっていた。その有用性のポイントが“Flexibility”と“Serviceability”であった。
“Flexibility”と“Serviceability”は搭載・交換に関係している。使用する立場で言えば、PCB上に規格化されたケージ・電気コネクターが搭載されていれば、さまざまな光インタフェースを有する同一Form Factorのトランシーバーから選択し、挿入することで所望のシステムを実現できる。これがFFPの“Flexibility”である。
また、故障したときには装置の運用を止めることなく、故障品を抜いて正常品を挿すことで交換修復できる。これがFFPの“Serviceability”だ。これらの有用性でデータセンターは独自のシステム設計、光トランシーバー調達・保守などが可能となった。また、データセンターのスケールアウトやスケールアップも容易となった。
CPOは、FFPと同レベルの“Flexibility”と”Serviceability”が実現できない。スイッチのFront Panelには光コネクターが並んでおり、その光インタフェースは内部のCPOで決まっている。また、故障時もスイッチのPCBを取り出さないと交換できない。もちろん、あらかじめ設計したCPOを搭載することになるが、その変更や更新などの“Flexibility“は失われる。このことはCPO(On Board Opticsも同様だが)の本質であり、FPPとは異なるシステム設計が必要となる。
これらのことから今後の展開を予測してみよう。
OIF(Optical Internetworking Forum)において200Gbit/s電気インタフェースの規格化作業が始まり、8高速信号入出力のOSFP/QSFP-DDによる8×200G=1.6Tまでは、FFPを使用することでハイパースケールデータセンターの基本構造を変えずにスケールアップが可能である。スイッチ容量51.2T、さらに102.4Tまで対応可能で、2026〜2030年くらいまでのシナリオができている。これが成功すれば、既設のハイパースケールデータセンターでのスケールアウトやスケールアップの主流はFFPであると考えられる。
一方、リアルタイム性の追求でエッジデータセンターが注目され、ハイパースケールデータセンターの役割も変化していくであろう。例えばプライベートとパブリックを併せ持つハイブリッドデータセンターが期待されている。特に、クラウドコンピュートではAIや機械学習(ML)など、より高度な計算機能/性能を備え、大規模化するとみられる。現在のハイパースケールデータセンターの始まりが2010年なので、それから10年を経た2020年は次期システムの始まりとなっても不思議ではなく、既にそれに最適な新しいデータセンターの設計が始まっていると考えられる。
これらのシステムでは低レイテンシや数テラビット/秒(Tbit/s)のリンク容量が要求され、CPO(あるいはOn Board Optics、最近の言葉ではNear Package Optics=NPO)が適用されるとみられている。“High Radix”や“Disaggregated hardware”を実現する光モジュールとして、将来は新しいデータセンターへ移行するという文脈で考えるべきである。つまり、従来のFFPの“Flexibility”と”Serviceability”と同等を実現する必要性は薄いと考えるが、要求項目として考慮する必要がある。
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