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» 2021年08月06日 10時30分 公開

オープンソースのソフトウェアが次世代の電力網に貢献Linux Foundationの取り組み

Linux Foundationの取り組みが成功すれば、次世代の電力網は、コモディティソフトウェアとコモディティハードウェアを使用したオープンソースツールをベースとしたものになるだろう。このソフトウェア定義のアプローチは、今日の電力網を明らかに閉鎖的で過度の負荷がかかるものにしているブラックボックスをこじ開けるのに役立つとして、共同開発や投資が促進されている。

[George Leopold,EE Times]

 Linux Foundationの取り組みが成功すれば、次世代の電力網は、コモディティソフトウェアとコモディティハードウェアを使用したオープンソースツールをベースとしたものになるだろう。このソフトウェア定義のアプローチは、今日の電力網を明らかに閉鎖的で過度の負荷がかかるものにしているブラックボックスをこじ開けるのに役立つとして、共同開発や投資が促進されている。

 Linux Foundationの電力イニシアチブである「LF Energy」は、他の業界を変革してきたオープンソースの原則を、画一的で存続の危機にある発電および送電分野に適用しようしている。

 LF Energyのエグゼクティブディレクターを務めるShuli Goodman氏は、「現在、電力は力任せのアプローチで生み出されている。ソフトウェア定義のインフラが現実のものになれば、複雑さがなくなり、使用コストは最終的にゼロになる」と述べている。

 Goodman氏の取り組みは緊急性を要するものである。計画停電や米国カリフォルニア州の山火事の原因となった電力インフラの老朽化、電気自動車(EV)や家電製品のスタンバイ電力といった交通の電化や家電製品の増大に伴う電力需要の急増によって、現在の送電網は急速に限界に近づいている。

 Goodman氏は、「早急に何らかの手を打つ必要がある。そうしなければ、私の孫が大人になる頃には、夏は本当に恐ろしい季節になってしまうだろう」と嘆いている。

LF Energyのエグゼクティブディレクター、Shuli Goodman氏

 そこで、エネルギーに関するこの取り組みでは、オープンソースコンポーネントの開発者コミュニティーを早急に構築して、EVからスマートフォンまでのあらゆる用途向けのマイクログリッド(小規模発電網)コンポーネントとして展開することを目指している。現時点では、送電インフラの処理能力が不足しているため、豊富にある再生可能エネルギーにほとんどアクセスできていない。こうしたアプローチによって、送電インフラの負荷を少なくともある程度は軽減できると期待されている。

 同グループは、「変圧器や変電所などの送電網コンポーネントは、仮想化の最有力候補だ」と述べている。米国カリフォルニア州の電力会社であるSouthern California Edison(SCE)はLF Energyと協力して、数十万にまで拡張できる仮想変電所の開発に取り組んでいる。現在の料金体系では、電力会社は資本市場に参入して、ほとんどがアナログの新しい変電所を建設するために数百万米ドルの資金を調達し、そのコストを料金支払者に転嫁する形を取るしかない。

 Goodman氏はあるインタビューの中で、「SCEが所有する小規模変電所が、900ではなく90万になり、コンポーネントをネットワーク化できる日が来ると考えている。それらは、コモディティハードウェアとコモディティソフトウェアをベースとし、広範囲に分散した電力網を実現するエッジノードルーターとして機能するだろう」と述べている。

 こうした変革には時間がかかる、ということをGoodman氏は認めている。「なぜなら、ほとんどの電力会社は社内にその能力がなく、オープンソースを利用する方法を知らない。彼らはベンダーに依頼する方法しか分からない」(同氏)

 送電システムオペレーターを対象としたLF Energyのプロジェクト「SEAPATH」は、将来のグリッドオートメーションプラットフォームのリファレンスデザインを開発することを目的としている。このプロジェクトでは、分散型エネルギー源に対応できる柔軟性と容量を備えた制御インフラを構築する。

 また、電力会社が分散型エネルギー源に対応できず、送電事業者が風力や太陽光発電からのエネルギー入力を抑制する”渋滞”問題にも対応する。

 電力会社は、オープンソースコミュニティーに参加したばかりの企業だ。欧州を中心とした初期の導入企業らは、通信などの産業の分散化がイノベーションを促進することに注目していた。

 電力インフラ業界では、発電量が分散して送電が複雑になるにつれ、自動制御への移行が進んでいる。「フランスの送電システム運営会社であるRTEの研究開発プログラムディレクター兼オープンソースマネジャーで、LF Energyにも参加しているLucian Balea氏は、「エネルギー移行に伴い、分散したプレーヤー、分散したエネルギー源、分散したレバーによる送電網の制御など、より複雑なシステムへと移行しているため、制御アーキテクチャを見直す必要がある」と語る。

 ソフトウェア定義の電力網は、ハードウェアメーカーにはまだ十分な余地がある。例えば、Goodman氏によれば、民生機器や産業用システムは、エネルギー需要をオフピーク時にシフトできるような設計にすることも可能だろう。

 「われわれは、デバイスやモノと電力システムとの関係をよりスマートなものにしなければならない。そのためには、ある種の急激なエネルギー効率化が必要なのだ」とGoodman氏は述べている。

 米国西部が記録的な高温による山火事に見舞われるなどする中、LF Energyのようなグループは、時間もエネルギーも無駄にはできないと主張している。そのためには、分散型の再生可能エネルギーの利用を拡大し、電力網の脱炭素化を図ることが重要だ。Goodman氏は、「人々は、やがては自分たちの命を奪うことになるかもしれないエネルギーインフラに頼り切っている」と忠告している。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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