東北大学多元物質科学研究所は、pnホモ接合の硫化スズ太陽電池を作製し、360mVという高い開放電圧の取り出しに成功した。クリーンなソーラーパネル材料として期待が高まる。
東北大学多元物質科学研究所の川西咲子助教と鈴木一誓助教らによる研究グループは2021年3月、pnホモ接合の硫化スズ太陽電池を作製し、360mVという高い開放電圧の取り出しに成功したと発表した。
ソーラーパネルはクリーンエネルギーの中核を担う製品であり、発電効率を向上させるための研究などが進んでいる。特に酸化スズは、希少金属や有害元素を含んでいないため、クリーンな次世代ソーラーパネル材料として期待されている。
ただ、硫化スズ太陽電池で発電効率を高めるには、同じ硫化スズで伝導特性が異なるp型とn型を組み合わせたpnホモ接合の太陽電池を作製することが必要となる。しかし、作製が比較的容易なp型に対してn型は作製が難しく、pnホモ接合の硫化スズ太陽電池を作製した事例は、これまでなかったという。
研究グループは2020年8月に、n型硫化スズ単結晶の大型化に成功した。これにより、10mmを超えるn型単結晶を入手することが容易となった。この基板上にスパッタリング法を用いてp型硫化スズを成膜、pnホモ接合の硫化スズ太陽電池を初めて作製した。試作品では360mVという極めて高い開放電圧を取り出すことができた。
試作品の変換効率は1.4%で、既存のヘテロ結合素子(最高値は5%)に比べるとまだ低いが、今後は飛躍的な向上が期待できるとみている。特に、大型のn型硫化スズ単結晶基板上には、さまざまな条件で多くのp型層を同時に作製することも可能で、pnホモ接合の最適化が容易だという。
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