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特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
インタビュー
» 2021年08月25日 11時30分 公開

パンデミックの教訓をイノベーションに、台湾科学大臣インタビューDXやグリーンエネルギーなど(1/3 ページ)

米国EE Timesが、台湾の科学大臣Tsung-Tsong Wu氏にインタビュー。Wu氏は、デジタルトランスフォーメーションやエネルギーといった技術の重要な側面を強調した他、複数の台湾系スタートアップ企業が最近主催した「VivaTech 2021 Virtual Conference」の最新情報を提供してくれた。

[Maurizio Di Paolo Emilio,EE Times]

パンデミックは技術を再考する機会に

 世界のチップメーカーとしての役割を担っている台湾にとって、今後10年間は転換の時代となるだろう。世界中で技術による経済のデジタル化が強く推し進められているが、台湾の計画者たちはそうした動きに巻き込まれる形で、その変革はもとより、人間の活動によって生み出された気候変動関連の問題を解決するのに必要なエネルギー転換にも焦点を当てている。

 そうした取り組みを主導している台湾の科学大臣であるTsung-Tsong Wu氏は、1977年に国立台湾大学で土木工学の学士号を、米国コーネル大学で理論/応用力学の修士号と博士号をそれぞれ取得した人物である。Wu氏は以前、超音波、表面音響波デバイスやそれに関連するセンサー、フォトニック結晶、材料の非破壊評価といった分野に携わっていた。

 Wu氏は、米国EE Timesとのインタビューの中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)やエネルギーといった技術の重要な側面を強調した他、複数の台湾系スタートアップ企業が最近主催した「VivaTech 2021 Virtual Conference」の最新情報を提供してくれた。

台湾の科学大臣であるTsung-Tsong Wu氏

 世界的なパンデミックはDXを加速させている。Wu氏は、パンデミックが技術開発やサプライチェーン管理の課題を再考する機会をもたらしたと述べる。過去1年にわたる官民の努力のおかげで、台湾は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による損害に耐えてきた。

 2021年5月半ばの感染急拡大で、政府はさまざまな規制を行ったが、現在では感染者数は減少している。台湾はCOVID-19を抑制するための効果的なキャンペーンで世界的に評価されてきた。キャンペーンには、携帯電話を通じて住民を追跡し、隔離された人々が確実に自宅にとどまるようにする「電子フェンス」も含まれる。この取り組みは、他の追跡システムよりも押しつけがましさがないと考えられている。

 Wu大臣は「われわれは公衆衛生やデジタル技術のスキルと専門知識を示してきた。『Taiwan can help(台湾は助けることができる)』という信条の下、リソースやパンデミックの経験を国際的なパートナーたちと共有してきた。多くの外国人は、そのプロセスの中で台湾について知るようになる。パンデミックは課題をもたらしているが、台湾がその卓越した専門技術力と産業チェーンをアピールする機会も生み出している」と述べた。

DXとエネルギー

 DXとグリーンエネルギーはいずれも重要な要素だ。2016年以降、台湾は「Digital Nation and Innovative Economic Development Program(DIGI+)」や「5+2 Innovative Industries Plan」といったプログラムを実施してきた。

 Wu氏によると、パンデミック後の世界で台湾は6つの主要な産業(セキュリティ、精密医療、DX、半導体、宇宙、5G/6G[第5世代/第6世代移動通信]インターネットインフラ)に注力していく。

 Wu氏は「台湾はデジタル政策に大いに注力してきた。今後数年のうちに、ブロックチェーンやIoT(モノのインターネット)についても耳にすることになるだろう。あらゆるものが接続され、われわれを取り巻く全てがデジタル技術を中心に展開するようになるはずだ」と付け加えた。

 さらにWu氏は「パンデミックによって、われわれはスピードアップを余儀なくされた。DXのプロセスを一層早急に前進させなくてはならなくなったのだ。欧州でも同じ状況が起きていると思う。精密医療業界については、台湾は1995年から健康保険とデータベース『Taiwan Biobank』を運営してきた。ICT業界における既存の強みと堅牢なヘルスケアシステムを持つ傍らで、バイオテクノロジー関連の新興企業への支援も行っている。データが確実に安全に共有されるよう、複数のデータベースを統合している」と述べた。

 TSMCのような大企業は、DXの取り組みを増強している。Wu氏は「そうした企業には数多くの自動化された計画があり、大量のビッグデータを利用している」と説明。「AI(人工知能)、5G、IoTといったデジタル技術に加えて、われわれは中小企業やマクロビジネスにおけるDXの支援にも重点的にも取り組んでいる」と述べた。台湾の労働人口の約8割がそうした企業や新興企業で働いているという。

 Wu氏は「われわれの目標は、デジタルプラットフォームを構築することで、情報サービスのプロバイダーがあらゆる小規模なビジネスと密接に連携できるようにすることだ。また、この変革プロセスを通じて中小企業を導きたいと考えている。中小企業はパンデミックによって何らかの問題に直面している。一方でパンデミックは、デジタル面での飛躍的な発展を後押しするだろう」と予測した。

 デジタルやスマートの発展には情報セキュリティも重要である。IoTは全てをつなげることから、企業はデジタル資産の保護を重要視する必要がある。それに向けて、台湾はアジア全土のセキュリティ専門家と、技術革新に向けたセキュリティ関連の中核的研究機関を設立中であるという。

 台湾は2018年以降、グリーンエネルギーに特化したサイエンスパークを構築を進めている。そこがデジタル/エネルギー革新の実証現場として機能する。Wu氏は「サイエンスパークは、テクノロジー、会議/展示会、商取引、学術研究、住居など、複合的な機能を提供する。循環型経済に基づき、デジタルとエネルギーの変革シナリオを統合する」と述べた。サイエンスパークには、自動走行実験場の他、2022年に新たにオープンするスタートアップセンターも併設されている。このセンターは、エネルギーならびにセキュリティ研究の試験都市になる予定だ。

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