de Geus氏によると、AI革命とEDAの幕開けとの間には、広く知られているように大きな類似点があるという。
「われわれは、どのように設計を発生させるのかという全く新しい段階を切り開くにあたり、さまざまな方法で暗号を解読したと考えている。今から35年前に、コードを解読したことによって、設計が変化した。これは、非常に大きな類似点だといえる」(同氏)
Synopsysは1980年代半ばに、EDAソフトウェアを開発した。それまで設計者が1週間を要していた仕事を、数時間で実行でき、優れた成果を実現することが可能になった。
「この時、誰もが同じように、『信じられない!』という反応を示した。興味深いのは、『これは非常に危険だ。自分たちの仕事が奪われてしまう』と考えた人たちは、おそらく全体のほんの数%程度だったのではないかという点だ。大半は、『実に素晴らしい。これを使えば、もっと多くの仕事をこなせるようになる』という考えだった」(de Geus氏)
DSOのようなAI搭載ツールが異なっている点としては、個々のツールから全体的な設計フローへと移行してきたということがある。個別タスク向けにツールを使用して、それを融合するのだ。de Geus氏が指摘するように、Synopsysはこれを35年前に開始したが、同社の合成技術は、合成とタイミング、技術とを小さく融合したものだった。DSOは現在、インテリジェンス層を追加しているという。
同氏は、「人間の設計者をもっとアーキテクトに近づけられるようサポートを提供するという点では、35年前と少しも変わっていない。異なるのは、設計者がもっと大きな問題にも対応できるようにするという点である。特定の問題に関しては、たとえ設計者に無限に時間があったとしても、自らが対応するより優れた方法で解決されているためだ」と述べる。
顧客側は、成果の品質や、成果が出るまでの時間、成果に伴うコストなどを、当時と同じように向上させたいと考える。しかし、GAA(Gate-All-Around)トランジスタやチップレットなどの新しい技術の登場によって、度々複雑性が増している上、電力や熱などに関する考察も非常に重要になっている。
De Geus氏は、「何度もさまざまな要件が追加されたため、当然、最適化に関する問題もかなり多次元的なものになってきている。そこで必要なのが、AIの力である。AIには、多くのものを同時に見る能力があるからだ」と述べる。
Synopsysは、物理レイアウトの最適化に向けたDSOと並行して、業界で初めてAIで他の設計領域も一部制御できるようにした。物理空間(セル最適化など)の他にも、構造/アーキテクチャ空間(クロックスキーム最適化)や行動空間(アプリケーションソフトウェア最適化)などがある。
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