Infineon Technologies(以下、Infineon)は、オーストリアのフィラッハに建設中だった300mmのウエハー対応の新工場の操業を開始。2021年9月17日(ドイツ時間)に開催したオープニング式典や記者会見で、その内容を説明した。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は、オーストリアのフィラッハに建設中だった300mmのウエハー対応の新工場の操業を開始。2021年9月17日(ドイツ時間)に開催したオープニング式典や記者会見で、その内容を説明した。
同社は2018年、パワー半導体需要の拡大を見据え、既に150mmと200mmのラインでパワー半導体を製造していたフィラッハの拠点(Infineon Technologies Austria)で、新たに300mmの工場を新設すると発表した。新工場は予定より3カ月早い2021年8月初頭に稼働を開始しており、主に自動車、データセンター、太陽光/風力の再生エネルギー生成などの最終製品向けにパワー半導体を製造していく。最初のウエハーは9月13日の週に出荷されたという。なお同社は300mm工場を既にドレスデンで稼働しており、今回が2カ所目となる。
同社のCEO(最高経営責任者)、Reinhard Ploss氏は、「パワー半導体の世界的な需要の高まりを考えると、欧州に新たな生産能力を設けるタイミングとして、今以上の時はない。ここ数カ月間で、マイクロエレクトロニクスが生活のあらゆる分野でいかに不可欠なものであるかが明らかになった。デジタル化と電動化が加速し、パワー半導体の需要は今後も伸び続けると予想される。今回の生産能力増強は、世界中の顧客への長期的なサービス向上につながる」と述べている。
工場の総投資額は16億ユーロで、「欧州のマイクロエレクトロニクス分野における半導体部門として、最大級の投資プロジェクト」だという。工場の建屋面積は6万m2、インフラの通信規格は5G(第5世代移動通信)。用いたコンクリートは7万m3、鉄鋼は1.8万トン、ケーブルおよびパイプラインの長さは2500kmにも及ぶ。工場運営に際し新たに400人のスペシャリストの雇用が生まれ、その3分の2は既に採用されているという。
現時点での生産規模については明かしていないが、今後4〜5年かけてフルキャパシティーへと持っていく予定で、フル稼働になった場合、年間20億ユーロの売り上げを見込んでいるという。なお、同工場における産業用半導体用の年間生産キャパシティーを単純計算すると、合計約1500TWhの電力を生成するソーラーシステムを装備するのに十分なものだといい、Ploss氏は、「これは、イタリア、フランス、ドイツに毎年電力を完全に供給できる規模だ」と語っていた。
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