同工場は、同じく300mmウエハープロセスでの製造を行うドレスデン工場と連携し、2つの拠点の製造オペレーションをあたかも1つの工場のようにコントロールすることができる「バーチャルメガファクトリー」を構築するのだという。
バーチャルメガファクトリー化によって、2拠点間で異なる製品の生産量を素早く調整するなど、顧客ニーズにさらに迅速に対応できるようになるといい、Hanebeck氏は、「この2つの工場の標準化を進めるため、われわれは多くの資金と資源、時間、エネルギーを投入した。この工場のスケールメリットを最大限に生かすことで、最終的には(両拠点がフル稼働の場合)、年間売上高50億ユーロの可能性があるということになる」と説明していた。
また、「CO2削減」についてもたびたび強調された。これには、同工場で生産されるパワー半導体(省エネチップと呼称)による効果はもちろん、工場自体のエネルギー効率化も含んでいた。同工場では、冷却システムの排熱によるエネルギーを用いて、敷地全体の暖房需要の80%をカバーするシステムを構築。将来的には年間約2万トンのCO2削減を実現。同時に、排気浄化システムによって「直接排出量をほぼゼロにしている」という。
さらに、生産に必要な水素についても「何度も欧州内から運んでくる必要はない」と説明。2022年初めから再生可能エネルギーを用い、工場内で直接『グリーン水素』を製造するという。このグリーン水素は、チップ製造に使用された後、地域の公共交通機関の燃料として使用される予定だ。なお、同社は2030年までにカーボンニュートラルを達成する、という目標を掲げている。
この日行われたオープニング式典には、Ploss氏やHanebeck氏らのほか、オーストリア首相のSebastian Kurz氏、経済大臣、労働大臣、州知事らも出席しそれぞれ祝辞を述べた。
また、EUコミッショナーのThierry Breton氏もビデオメッセ―ジで登場。「半導体の不足は、社会や経済において半導体がいかに重要であるか、そして欧州がいかに欧州外の生産に依存しているかを教えてくれた。特に自動車産業やオートメーションなどの分野では、半導体が十分に供給されないために生産を停止せざるを得ないこともあり、雇用も危険にさらされている。この工場の開設は、既存と新規の両方の市場を支え、開拓してくれる」と評価。また、欧州の半導体シェア拡大の目標にも触れ、「『欧州の野望』に重要な役割を果たすこの工場のオープンを歓迎する」とも述べた。
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