メディア
連載
» 2021年10月13日 11時30分 公開

全機種に“最適化した設計”、「iPhone 13」分解に見るAppleの開発力この10年で起こったこと、次の10年で起こること(56)(1/3 ページ)

2021年9月24日、Appleから最新スマートフォン「iPhone 13」シリーズが発売された。4機種を分解すると、Appleの開発力が見えてくる。

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]

最新の「iPhone 13」シリーズ

↑↑↑>>>連載一覧へ<<<↑↑↑

 2021年9月24日、Appleから最新スマートフォン「iPhone 13」シリーズが発売された。外観はおおむね前機種の「iPhone 12」を踏襲するものになっている。大きな外観差はカメラ部だ。「iPhone 12 Pro」では28mm×28mmのサイズであったカメラ部が36mm×36mmと6割も拡張された大型のものになっている。広角レンズ、超広角レンズ、望遠レンズの3構成に加えてTOF(Time of Flight)センサーが組み込まれた。カメラ構成は他メーカーの上位機種とほぼ変わらないが、新たに「シネマティックモード」が加わり、遠近のピントをiPhone 13が自動で合わせてくれるようになったことで、まるで映画のような撮影が可能になっている。

 図1は、iPhone 13シリーズ4機種のディスプレイを取り外した様子である。シリーズは2つに分かれており、3眼カメラのProシリーズ2機種と、2眼カメラの13シリーズ2機種となっている。価格と性能の差があるのでユーザーの選択肢が広いのは従来通りだ。

図1:「iPhone 13」シリーズ4機種のディスプレイを取り外した様子[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

4機種それぞれに“最適化した設計”

 4機種には、専用に設計されている部分と共通化されている部分がある。4機種ともに共通なのは、Faceカメラ、非接触充電用のコイル、UWB(Ultra Wide Band)通信用のアンテナやサイドのボタンなどである。一方で4機種ともサイズや形状が異なっているものも多い。電池、基板、TAPTIC、スピーカーなどだ。カメラ部については、Proシリーズの2機種と、13シリーズの2機種でそれぞれ共通となっている。

 4機種の“骨格”となる基板や電池が個別に設計され、最適化されている点でAppleの驚異的な開発力が見て取れる。4機種を分解した際、中身に全く隙間がなく、最適化(無駄がないという意味で)されていることに感銘を覚えたほどだ。

 年間50機種程度の最新スマートフォンを分解していると、定型ともいえるパターンで作られているものが多く、あるメーカーのスマートフォンでは電池サイズが別機種でもまったく同じである場合もある。iPhoneでは、全機種一つ一つについて、最適化を求めた設計が行われているわけだ。

「iPhone 13 Pro」のメイン基板

 図2は、最も売れ筋の「iPhone 13 Pro」の分解の様子である。右上部に3眼カメラとTOFセンサー、MEMSマイクロフォンが備わっている。センサー入力部である。最上部はFaceカメラとドットプロジェクター。左中央にはメインのコンピュータ基板が配置されている。

図2:「iPhone 13 Pro」を分解した様子[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 基本的な配置関係は4機種ともに同じものとなっているが、基板のサイズや形状は、前述したように4機種とも別物となっている(差がわずかな部分もある)。電池は「iPhone X」から採用されるL字型の異形が、Proシリーズでも使われている。電池の下には非接触充電用のコイルと充電器「MagSafe」との接続を行うためのマグネットが配置される。iPhone 13の下部にはスピーカーやTAPTIC、Lightningコネクターの端子、さらに2基のMEMSマイクロフォンが設置されている。分解の難易度は4機種とも共通、比較的高い方であった(接着剤の使用が少ないので)が最上位というほどではなく、電池交換などはスムーズに行えるものとなっている。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.