2層目は、デバイス/モジュールなどの「用途特化型デバイス」だ。具体的には高周波モジュールや慣性力センサーなどの機能デバイス、リチウムイオン電池や全固体電池、蓄電池モジュールなどのエナジー/パワーに分けられる。この分野では競合企業が明確であり、同社は他社と差異化できる技術を追求していく方針だ。
高周波、通信分野では、ルネサスのパワーアンプ事業(2011年)をはじめ、通信モジュールのRF Monolithics(2012年)、RFデバイスメーカーのPeregrine Semiconductor(2014年)、樹脂多層シートのPrimatec(2017年)、RF回路の省電力化技術のEta Wireless(2021年9月)などの買収によって獲得した製品、技術をモジュール用に最適化し売り上げを拡大してきた。
中島氏は、「差異化技術は貪欲に獲得していきたい。外部から獲得する技術も少なくないだろう」と説明。さらに、「変種変量生産になりがちだが、プロセスや材料を徹底して標準化しマスカスタマイゼーションを進めることが事業の成否につながる」と方針を示した。
そして3層目に位置付けるのが、「新たなビジネスモデル創出」で、ソリューションなどの新しい分野で構成。非連続なコア技術を育成し、新しいビジネスモデルの構築に向けて取り組んでいく。中島氏は、「顧客の定義が変化する中、新たに発生する顧客に対応し、喜んでわれわれの商品を使ってもらえる形を追求したい。2030年には1000億円くらいの事業にしたいという夢を持ってチャレンジを展開していく」と語っていた。下図左は3層目の取り組み事例だ。
2つ目の成長戦略は「4つの経営変革」で、「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」「自律分散型の組織運営の実践」「仮説思考にもとづく変化対応型経営」「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」といった内部変革の推進を掲げている。
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