同社は今回Vision2030の第1フェーズとして、2022〜2024年度までの新中計も発表。「経営変革の推進」や「ポートフォリオ経営の実践」「筋肉質な経営基盤の形成」「2030年への備え」という課題に取り組んでいくとしている。
なお、前中計(2019〜2021年度)における2021年度の目標は売上高2兆円、営業利益率17%以上、ROIC20%以上だった。同社によると今期の営業利益率は21.1%、ROICは20.4%と目標達成の見込みだという。一方で売上高は2019年度の電子機器の生産調整や在庫調整の影響などから1兆7300億円で未達となると予想している。
今回発表した新中計では売上高目標を2兆円に据え置いた他、営業利益率、ROIC目標についても、今期に達成する見込みの数値と同水準となっている。この理由について、中島氏は、「一見するとあまりにコンサバティブじゃないかと捉えられるかもしれないが、今必要なのは先行投資だ」と説明。同社は新中計を、「長期環境変化に対する備え」を進め、持続的な成長に結び付けていくための“種まき”の期間と位置付けているという。
具体的には新中計では「戦略投資」枠を新設し、2022〜2024年までの3年間の設備投資6400億円(うち土地建物に1000億円)とは別に、環境対策や、新ポートフォリオの第2層での「差異化技術」の獲得、DXを中心としたITインフラ、あらゆるリスクに対する備えなどで、長期的な視点での投資に2300億円を投入する予定だ。
環境対策について同社は温室効果ガス排出量を2019年度比で2024年度に20%減、再生可能エネルギー導入比率を2024年度には25%、2050年度には100%にするなどの目標を掲げている。2021年10月には金津村田製作所(福井県あわら市)の使用電力を100%再生可能エネルギー(再エネ)とすることを発表したが、今後も他事業所で同様の展開をしていく方針だという。中島氏は、「財務価値にすぐにはつながらないが、環境保全も必ず利益創出に結び付ける」とした。
村田製作所は同日、総投資額約120億円で、タイに2023年3月の完成を目指してMLCCの新生産棟を増設すると発表。生産拠点の多様化も推し進めていく方針としている。
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