CESの製品デモンストレーションは、必ずテレビ映えするだけでなく、さまざまなソーシャルメディアでシェアされるというのも、納得がいくのではないだろうか。しかしその多くは、市場参入を実現することができない。また、市場参入までに時間を要するものもある。
CESの製品デモンストレーションは、必ずテレビ映えするだけでなく、さまざまなソーシャルメディアでシェアされるというのも、納得がいくのではないだろうか。しかしその多くは、市場参入を実現することができない。また、市場参入までに時間を要するものもある。
今から4年前、盛りだくさんのLGのブースでは、ローラブルOLED(有機ELディスプレイ)を一目見るために列に並んで待たなければならなかった。使用しない時は、筐体に巻き込んで格納することができるという製品だ。そしてついに2021年夏、65インチの4Kテレビ「OLED R」とキャビネットが、10万米ドルという高価格帯で市場に登場した。この価格の中には、LGの最上級のコンシェルジュサービスも含まれているという。普通の人々には手が届きそうにない値段だが、とうとうローラブルテレビが実現したのだ。
今回の「CES 2022」(2022年1月5〜8日、米国ネバダ州ラスベガス)で最も注目を集めたのは、色が変化するというBMWのコンセプトカー「iX Flow」だ。少なくとも、一番多く記事に掲載されたのではないだろうか。筆者はかつて新車を手に入れた時に、その塗装の色を後悔したことがあり、この未来の技術についてさまざまなユースケースを思い付いた。例えば、クリスマスには赤と緑、暗い暴風雨の時は鮮やかな黄色に、また、グレーのハイブリッドカーだらけの駐車場で自分の車を探し出す時は明るいマゼンタ色に変化すると良いのではないだろうか。
CES 2022の会場にいる間は、ヘリンボーン柄にするのはどうだろう。ニューアークリバティ国際空港(米国ニューヨーク州の空港)の長期間用駐車場では、かなり目立つのではないか。
iX Flowは、E Inkでラッピングされているという。特大版の電子書籍リーダー「Kindle」のように、グレースケールで単色のオプションを提供するのだ。iX Flowの表面にはE Inkが貼られていて、ドライバーがボタンを押して指示を出すと、電気泳動技術を利用することでさまざまな種類の着色顔料が表面に出るため、濃淡を変えることができる。今のところまだカラーには対応していないが、現在取り組みを進めているところだという。
BMWのエンジニアリングチームは、「われわれは現在、最先端の研究/設計プロジェクトにおいて、未来の量産車の内装/外装において新しい形のパーソナライゼーションを実現すべく、技術開発を推進しているところだ。自動車の外装色を変化させることにより、環境面でもメリットを提供できる可能性がある。例えば、暑い夏の日には、外装色を明るい色にすることで、自動車本体や車内の温度を下げることができるだろう」と指摘する。
ただ、自動車をカムフラージュするというアイデアに興奮する人はあまりいないのではないだろうか。例えば、もしパトカーが、最新モデルの白色のダッジ・チャレンジャー(Dodge Challenger)を探しているのに、突然その色がグレーに変化したら、見つけられないかもしれない。それでも、さまざまな可能性について考えるのは楽しい。
これは車だけに限らなくてもよいのではないか。例えば、季節ごとにベッドルームの壁の色を変えたり、その時の気分で食器棚や照明の色を変えるというのもどうだろう。
夕食のメニューがパッパルデッレ(パスタの一種)だったら、ダイニングルームの壁をイタリア・トスカーナ州の田園風景に変えることもできる。
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