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» 2022年03月16日 17時15分 公開

既に自家用車の9割、ノルウェーでEV導入が進んだ背景グリーンエネルギー先進国(1/2 ページ)

ノルウェーは、内燃機関自動車(ICEV)から電気自動車(EV)への移行が最も進んでいる国の1つだ。2022年初頭の時点で、自家用車の月間売上高全体に占めるEVの割合が90%を超えており、その大半がバッテリーEV(BEV)だったという。本記事では、なぜこのような状況に至ったのか、その理由について考察していきたい。

[Egil Juliussen,EE Times]

 ノルウェーは、内燃機関自動車(ICEV)から電気自動車(EV)への移行が最も進んでいる国の1つだ。2022年初頭の時点で、自家用車の月間売上高全体に占めるEVの割合が90%を超えており、その大半がバッテリーEV(BEV)だったという。本記事では、なぜこのような状況に至ったのか、その理由について考察していきたい。

 ノルウェーでEVへの移行が進んだ主な要因として挙げられるのが、パリ協定だ。2015年に190か国によって採択され、2016年11月4日に施行された、法的拘束力のある国際条約である。ノルウェーは、あらゆる温室効果ガス排出量(GHGE)を削減すべく、自らの役割を積極的に果たそうと取り組みを進めている。

 筆者はノルウェーで生まれ育ったため、ノルウェー人がどんな天候下でも、スキーやツーリング、日常のウォーキングなど、アウトドア活動が大好きであるということを知っている。また、これまで50年あまりの間にノルウェー各地の氷河を何度も訪れており、氷河の後退が進んでいるのを目の当たりにしてきた。

既にグリーン化が進んでいたノルウェー

 下表は、ノルウェーがBEVへの移行を迅速に進め、EVへの転換で世界をリードしてきた理由についてまとめたものだ。

なぜノルウェーがEV転換で世界をリードしているかの分析[クリックで拡大](筆者が作成)

 温室効果ガス排出量を低減するためには、最初のステップとして、その出どころを把握する必要がある。上表の中央列の青字で記されているのが、経済連携協定(EPA)のデータに基づいた2019年の米国の二酸化炭素排出量だ。そして右列の緑字は、他の国々の排出量範囲を予測している。

 ほとんどの国が、初期の段階で大きな効果を挙げたい場合、よりクリーンな発電を行うことで排出量を低減しようとするのではないだろうか。現在、太陽光/風力発電技術が急速に進化し、価格も急激に下がっているためだ。

 しかしこの戦略は、ノルウェーでは機能しない。というのも、ノルウェーでは既に極めてクリーンな発電が行われているからだ。1600カ所を超える水力発電プラントにおいて1000カ所の貯水池の水を使用することにより、電気全体の88%以上が発電されている。また、全体の6.4%を占める風力発電にも引き続き力を入れており、急激な成長を遂げているところだ。

 2020年におけるノルウェーの発電能力全体のうち、火力発電所の占める割合は約2%だった。この発電所では、一般廃棄物や産業廃棄物、余剰熱、石油、天然ガス、石炭などさまざまな種類のエネルギー源を使っている。

 ノルウェーでは、温室効果ガス排出量を削減するための最初のステップとして、EVを輸送手段にするという、明瞭な第一歩を踏み出した。2013年頃には、EV技術/コスト面での競争力を高め、現在では全ての自動車メーカーに道が開かれるようになった。

 ノルウェーでは、米国や他の欧州諸国と比べて、自動車の販売価格が非常に高い。それは、税金や使用料が高いためだ。ノルウェーはこのような料金の高さを、EVをICEVよりも安価にするための仕組みとして利用したのだ。さらに、EV購入のための奨励策を導入して、全ての人々に対してEV購入の検討を奨励した結果、EVの購入が増加した。

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