ロームは2022年3月、ゲート・ソース定格電圧(ゲート耐圧)を8Vに高めた150V耐圧GaN HEMT「GNE10xxTBシリーズ」として「GNE1040TB」を開発、量産体制を整えた。
ロームは2022年3月、ゲート・ソース定格電圧(ゲート耐圧)を8Vに高めた150V耐圧GaN HEMT「GNE10xxTBシリーズ」として「GNE1040TB」を開発、量産体制を整えたと発表した。
GaNデバイスは低オン抵抗や高速スイッチング性能といった特長を備え、産業機器や通信機器の電源回路などの用途で需要が拡大している。ロームは、これらの特長を生かしつつ、応用機器の低消費電力化や小型化を可能にするGaNデバイスを「EcoGaN」と名付け、製品開発に取り組んできた。
量産を始めたGNE10xxTBシリーズは、独自の構造を採用した。これによって、200V耐圧以下のGaNデバイスでは6Vが一般的だったゲート耐圧を、GNE10xxTBシリーズでは8Vまで高めることに成功した。この結果、デバイス動作時の電圧マージンが広がり、スイッチング時に6Vを超えるオーバーシュート電圧が発生しても、デバイスの劣化はないという。
また、大電流に対応でき放熱性に優れたパッケージ「DFN5060」を採用した。外形寸法は5.0×6.0×1.0mmである。銅クリップ接合のパッケージ技術を用いることで、寄生インダクタンス値を従来パッケージに比べ55%低減したという。なお、ゲート耐圧の拡大やインダクタンスが低いパッケージを採用したことで、1MHzの高周波帯において96.5%以上の電源効率を達成した。
GNE1040TBは、ドレイン・ソース間電流が30Aで、ドレイン・ソース間オン抵抗は40mΩ、ゲート総電荷量は2.0nCである。GNE10xxTBシリーズとしては、同様に55A/15mΩ/4.9nCの「GNE1015TB」や80A/7mΩ/10.2nCの「GNE1007TB」なども開発中である。
GNE10xxTBシリーズは、データセンターや基地局などの48V入力降圧コンバーター回路、基地局パワーアンプ部の昇圧コンバーター回路、LiDAR駆動回路、ポータブル機器向けワイヤレス給電回路、D級オーディオアンプなどの用途に提案していく。
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