浜松ホトニクスは、高出力の産業用連続発振(CW)レーザー装置に向けた、液晶型の空間光制御デバイス(SLM)を開発した。有効エリアを従来の約4倍とし、耐熱性も高めた。金属3Dプリンタへの応用などを視野に入れている。
浜松ホトニクスは2022年4月、高出力の産業用連続発振(CW)レーザー装置に向けた、液晶型の空間光制御デバイス(SLM)を開発したと発表した。有効エリアは従来の約4倍とし、耐熱性も高めた。金属3Dプリンタへの応用などを視野に入れている。
同社はこれまで、産業用パルスレーザー装置に向けたSLMを開発してきた。このSLMは、CWレーザー装置に応用することも可能だが、SLMの温度が上昇すると性能が劣化しやすいという課題があった。
そこで今回は、回路を繰り返しシリコン基板に露光する「スティッチング技術」を応用し、SLMの有効エリアサイズを30.24×30.72mmと、これまでの約4倍に広げた。これによって、SLMに入射する単位面積当たりのエネルギーを抑制できるという。
SLMは、画素電極付きのシリコン基板と透明電極付きガラス基板で液晶層を挟み込んだ構造となっている。画素電極で液晶の傾きを制御することにより、入射したレーザーが誘電体多層膜ミラーに反射して得られる照射パターンを、自由に変えることが可能となる。
また、耐熱性と熱伝導性に優れた大型セラミック基板を採用したことで、放熱効率を高めた。この結果、CWレーザー照射による温度の上昇も抑えることに成功した。さらにSLMの大面積化に対して、基板の平たん度を保つための技術を開発。これによって高い精度でビーム形状を制御することが可能になったという。
今後は、SLMを構成する誘電体多層膜ミラーの最適化を図ることで、耐光性能のさらなる向上を目指す。
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