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世界半導体生産能力、57%をトップ5社が占める各社の戦略を比較(2/2 ページ)

» 2022年04月21日 11時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]
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ノードの移行に注力するMicron

 Micronは、より高度なプロセス能力の既存の生産力を高めることに注力するため、設備投資を抑えてきた。とはいえ、同社は2021年に、「Fab 15」のフェーズ4、「Fab 16」のフェーズ2、そして米国バージニア州にあるレガシー製品の製造施設の拡張という形で、生産能力を追加した。

 Micronはこの10年間の半ばにわたり、ノードの移行によってビット供給を増やす計画だ。同社は、DRAM向けのダイの縮小や3D NAND型フラッシュメモリに向けた継続的なスケーリングを通じて半導体生産量を高められるような新たな技術や装置に焦点を当てている。

 結果的に、同社が今後2〜3年のうちに製造施設の大規模な拡張に着手することはなくなったとKnometa氏は述べた。Micronは2021年10月、次の大規模な製造施設プロジェクトを発表した。同社が日本の広島県に持つ用地に、新たに300mm製造施設を建設するというものだ。2024年に生産開始を予定している。

2021年、設備投資を大幅に引き上げたSK hynix

 Knometa氏によると、SK hynixは2018年、韓国と中国に新たな製造施設を建設するため設備投資を大幅に増やしたが、2019年と2020年には設備投資を縮小したという。韓国の清州市にある「Fab M15」と中国の無錫市の「Fab C2F」は2019年に操業を開始したが、いずれの製造施設でも能力と生産量の拡大は漸進的である。Knometa氏は、「SK hynixは2021年に設備投資を大幅に引き上げた。となれば、2022年には設備投資はさらに高められるはずだ」と述べている。

 SK hynixの最新の製造施設である「M16」(韓国、利川市)は、2021年初めに完成し、同年第4四半期に操業を開始した。

 SK hynixは2021年12月、中国の大連市にあるIntelの製造施設(「Fab 68」)の所有権を獲得した。だが、依然としてIntelが3D NANDチップの製造にFab 68を使っているため、2021年末の時点では、同施設の生産能力はSK hynixの分に含まれていなかった。SK hynixによるIntelのNANDおよびSSD事業の買収は、数年にわたる複数段階の取引であり、SK hynixが買収を完了する2025年3月まで、IntelはFab 68で製造できることが規定されている。

キオクシアとWDは3Dスケーリングの進展に注力

 キオクシアとWDが共同で保有する生産能力は、2021年に上位5社の中で最も低い割合で増加した。両社は、生産能力よりも3Dスケーリングの進展によって3D NANDのダイ生産量を増やしている。

 WDは、ほぼ全ての製品供給ニーズを新技術への転換で満たしている。3D NANDの場合、層数を増やして単位面積当たりのメモリ量を増やすことを意味する。

 キオクシアとWDは、三重県四日市市の拠点に新工場「Y7棟」を建設し、2023年初頭の稼働を予定している。同拠点の他工場と同様に、Y7棟も2段階に分けて建設される。2022年4月、両社は岩手県北上市の拠点で第2製造棟「K2棟」の建設を開始した。既存のK1棟は2020年に生産を開始した。K2棟は2023年の建屋完成、稼働を目指している。

6位のIntel、キオクシア/WDに迫る可能性も

 Knometaによると、Intelは2021年末時点で6位だった。同社は5位だった2012年以降、順位を維持している。

 Yancey氏は、「Intelがトップ5に入らないことは、私にとって驚くべきことではない。上位5社のうち4社は、膨大な容量を必要とする2つのセグメントであるNANDとDRAMのサプライヤーだ」と説明した。

 Knometaによると、Intelが今後数年以内にトップ5に浮上する可能性がないわけではないという。Tower Semiconductor(以下、Tower)の買収が完了すれば、Intelの生産能力はキオクシア/WDに迫ることが予想される。2021年末のデータに基づくと、IntelとTowerを合わせた生産能力はキオクシア/WDに約15%後れを取っている。Yancey氏は、「Intelは今後数年以内に完成予定の大型工場をいくつか持っているが、それは、キオクシア/WDも同様だ」と述べている。

【翻訳:滝本麻貴、青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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