東北大学は、産業廃棄物(シリコンスラッジ)とCO2(二酸化炭素)を反応させて、SiC(炭化ケイ素)を合成する技術を開発し、カーボンリサイクル技術として事業化に向けた検証を行っていく。
東北大学大学院工学研究科応用化学専攻の福島潤助教と滝澤博胤教授は2022年5月、産業廃棄物(シリコンスラッジ)とCO2(二酸化炭素)を反応させて、SiC(炭化ケイ素)を合成する技術を開発し、カーボンリサイクル技術として事業化に向けた検証を行っていくと発表した。
今回の研究は、2022〜2024年度に実施される新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電技術推進事業/研究拠点におけるCO2有効利用技術開発・実証事業」(基礎研究エリア)委託事業の支援を受けて行う。
SiCは近年、ワイドギャップ半導体材料として注目されている。SiCを作製する技術としてはこれまで、主にアチソン法が用いられてきた。ところがこの方法は、SiC 1トン当たりに用いる電力量が14MWh以上となる。しかも、SiCの重量に対し4倍のCOを排出するなど、環境負荷が極めて大きく課題となっていた。
福島氏らが開発した作製手法は、ICや太陽光発電パネルの製造に用いるシリコンウエハーの切削くずを活用できる点だ。ウエハーを切り出す時に発生するシリコンスラッジは、これまで産業廃棄物として処分されていた。開発したのは、このシリコンスラッジとCO2を反応させて、SiCを合成するカーボンリサイクル技術である。
研究グループは今後、開発した技術について石炭火力発電所から排出されるCO2を活用して、脱炭素化と循環型社会の構築に向けた事業化検証を行う計画である。
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