今回は近似解を求める手法である「Ritz-Galerkin(リッツ・ガラーキン)法」を簡単に説明しよう。
(ご注意)今回は前回の続きとなっています。まず前回の内容を読まれることを推奨します。
前回の後半で説明したように、レクテナの整流器(整流回路)にはダイオードを使うことが多い。実際のダイオードは、寄生素子である抵抗成分、容量成分、インダクタンス成分を有する。ダイオードの接合容量Cj、ダイオードの直列抵抗Rs、ダイオードを封止するパッケージのインダクタンスLp、パッケージの容量Cpなどである。実際の回路設計では、これらの寄生素子による影響を考慮しなければならない。
講演では、以下の4つの解析手法を挙げていた。
今回は近似解を求める手法である「Ritz-Galerkin(リッツ・ガラーキン)法」を簡単に説明しよう。
高周波電力を直流電力に変換するダイオード回路の解析は、数学的には微分方程式を解くことに等しい。偏微分方程式の近似解を求める代表的な手法に「変分法(Ritz法)」と「Galerkin(ガラーキン)法」がある。これらの手法はアプローチが異なるものの、同じ近似解を得られることから、まとめて「Ritz-Galerkin(リッツ・ガラーキン)法」と呼ぶことが多い。
電圧Vgと寄生抵抗Rgの高周波電力生成器からダイオード整流器に電力Pavを与える回路モデルを考える。整流器が出力する負荷RLには直流電圧Vdcが発生する。ダイオードの寄生抵抗Rs、飽和電流Isを考慮すると、電力Pavと直流電圧Vdcの関係は下図の方程式で記述できる。
当然ながら、入力電力が増加すると出力電圧も増加する。なおダイオードの寄生容量は無視しているので、周波数依存性はないものとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.