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5G 人からモノへ 〜「未踏の時代」迎えた無線技術 特集
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» 2022年06月10日 10時30分 公開

6G成功にはミリ波帯5Gのインフラ普及が不可欠Qualcommが提唱(1/2 ページ)

Qualcommは、メディア向けラウンドテーブル「Qualcomm NOW」を東京都内で開催し、ミリ波帯5G(第5世代移動通信)の市場動向やQualcommの新たな取り組みなどを説明した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

「ミリ波帯5Gへの投資、5年以内に回収できる」

 Qualcommは2022年6月8日、メディア向けラウンドテーブル「Qualcomm NOW」を東京都内で開催し、ミリ波帯5G(第5世代移動通信)の市場動向やQualcommの新たな取り組みなどを説明した。この中で、「ミリ波帯5Gのインフラを広く普及させることが、6G(第6世代移動通信)の成功につながる。ミリ波帯5Gを制したものが、6G世代でもリーダーシップをとることができる」などと述べた。

 Qualcommは、「Qualcomm 5G Summit」を2022年5月上旬に米国サンディエゴで開催した。そこでは、同社が提唱する「コネクテッド・インテリジェント・エッジ(connected intelligent edge)」構想や、それを実現するための新たな5G製品などが紹介された。

 これを受けメディア向けラウンドテーブルでは、クアルコムジャパンの代表社長を務める須永順子氏が、「Qualcommの最新状況」について説明。また、同イベントで発表された「5G mmWave Business Insights」の内容をベースに、Qualcomm FranceでBusiness Developmentのバイスプレジデントを務めるPhilippe Poggianti氏が、その概要を紹介した。

須永順子代表社長

 須永社長は、「5GがAIをエッジへと向かわせる。クラウドベースの学習機能を、柔軟にエッジデバイスへ分散させることが可能になった」と話す。エッジデバイスにAI機能を搭載することで、これまでとは異なる機能を追加することができる。例えば、エッジデバイスのバッテリー使用時間を延ばす制御や、なりすましの防止、ネットワークの異常監視といった処理をエッジ側で実行できるようになる。

 こうした中で同社は、「ミリ波帯5G」への移行を提唱する。ミリ波帯5Gを導入する効果として、須永氏は「投資効率の高さ」などを挙げた。交通密度が高いエリアで、5G基地局に投資する金額の12%をミリ波帯5Gに振り向けると、24%のユーザーがミリ波5Gを利用できるようになるという。投資を回収する期間も、ミッドバンド帯5Gでは7〜8年かかるのに対し、「ミリ波帯5Gであれば、5年以内に回収できる」と分析している。

投資効率が高いミリ波帯5G 出所:Qualcomm

 日本では携帯通信業者4社がミリ波帯5Gを採用、実用化している。ミリ波帯5Gに対応する機器も、既に50社を超えるベンダーから、150機種以上が発表されているという。さらに、5Gシステムの基本機能をさらに強化した「Release 17」の登場によって、ミリ波帯5Gはさらに進化を遂げるとみている。ただ、現時点でミリ波帯5Gの普及度合は「思わしくない」状況にあると分析しており、「官民が一体となってインフラの普及に取り組む必要がある」と指摘する。

AIプロセッサ内蔵の5G対応モデムを投入

 こうした中でQualcommは、AIプロセッサを搭載した5G対応モデム-RFシステム「Snapdragon X70」を2022年2月末に発表し、サンプル出荷を始めた。X70は、5G向けモデムとしては第5世代になる製品。モデムに搭載したAIプロセッサでビームを制御することにより、通信可能な領域の拡大やスループットの向上を可能にした。

AIプロセッサ搭載のSnapdragon X70 出所:Qualcomm

 X70は600M〜41GHzで全ての商用5G周波数をサポートしており、通信速度はダウンロードで最大10Gビット/秒、アップロードで最大3.5Gビット/秒を可能にする。ミリ波帯5G SA(スタンドアロン)通信性能試験において、ダウンロードで8Gビット/秒を超える通信速度を確認した。

 X70は「Transmit 3.0」技術を新たに採用した。この技術により、従来の2Gからミリ波帯5Gまでのセルラー通信に加え、Wi-FiやBluetoothについてもリアルタイムで電力を管理することが可能になり、通信性能を最適化できるという。

 5Gの応用分野としては、CPE(宅内通信機器)やPC、次世代自動車、XR(Extended Reality)デバイス、ゲーミングデバイスなどを挙げた。これらの市場に向けて、Snapdragonブランドの「SoC」や「RFシステム」を供給していく計画である。特に、メタバース関連については、2022年3月に「Snapdragon Metaverse Fund」の設立を発表した。総額1億米ドルを投資して、XRエコシステムやAR(拡張現実)技術、AI技術を開発するエンジニアや企業を支援していく。

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