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» 2022年06月15日 09時30分 公開

EV向けも登場、商業展開が加速するグラフェンバッテリー幅広い応用範囲に期待(1/2 ページ)

グラフェンをバッテリーやその他のエネルギー貯蔵デバイス(スーパーキャパシターなど)に応用する学術的な研究開発は何年にもわたって行われてきたが、現在では、さまざまな最終用途をターゲットにした商業製品が市場に出回っている。これは、ここ数年の間に顕在化したものだ。市場の立ち上がりは遅かったかもしれないが、続々と製品が市場に投入され、この傾向は2022年前半まで続いている。

[Liam Critchley,EE Times]

 グラフェンをバッテリーやその他のエネルギー貯蔵デバイス(スーパーキャパシターなど)に応用する学術的な研究開発は何年にもわたって行われてきたが、現在では、さまざまな最終用途をターゲットにした商業製品が市場に出回っている。これは、ここ数年の間に顕在化したものだ。市場の立ち上がりは遅かったかもしれないが、続々と製品が市場に投入され、この傾向は2022年前半まで続いている。

 数年にわたる商業利用を経て、グラフェンはローテク用途のアプリケーションで多用されるようになった。グラフェンの(商業製品の数という観点からの)最大の市場の1つは、衣類とテキスタイルだ。グラフェンはその潜在的可能性にもかかわらず、ハイテク領域への参入に苦労してきたことは周知の事実だが、ここ2〜3年でそうした状況も全て変わりつつある。

 現在、グラフェンはバッテリー技術やエネルギー貯蔵技術で多くの商業的関心を集めている。バイオセンサーや携帯電話機の冷却システム(いくつかの中国メーカー製の携帯電話にはグラフェンを用いた冷却システムが使われている)に加え、バッテリーもグラフェンの最もハイテクな商業アプリケーションの1つになっている。

進むEV向けグラフェンバッテリーの実用化

 「グラフェンバッテリーの市場が拡大している」といっても、まだ比較的専門的な技術領域であり、そこで言及されるのは(数百ではなく)せいぜい2〜3種の商業製品であることに留意する必要がある。それでも、2020年から現在までで、少数ではあるが注目に値する製品が市場に出た。そのうちの1つが、GAC Groupによるものだ。同社は、数年に及ぶ試験と開発を経て、ついに電気自動車(EV)用バッテリーを開発した。2021年に量産体制に入っており、2022年後半に市場投入予定の「Aion V」に搭載される予定である。

 商用EV用グラフェンバッテリーの実用化は、おそらく現在までで最大の進展の1つだろう。一方、GAC Groupのケース以外では、Skeleton Technologiesが興味深い『しわくちゃ(crumpled)』なグラフェン素材を用いた超高速充電が可能なグラフェンバッテリーとスーパーキャパシターを開発している。バッテリーはいまだ開発中であるが、自動車をターゲット市場にしている。一方のスーパーキャパシターは液体水素燃料バッテリーで走るバスの一部に既に採用されている。

 もう1つの注目すべき進展として、Strategic Elementsのケースがある。同社はグラフェンインクを使って、自動充電式のフレキシブルなバッテリーを開発している。ターゲット市場としてはウェアラブル医療やウェアラブル機器を想定している。2022年の時点で、同社のフレキシブルバッテリーについて他に聞こえてくることはあまりないので、おそらくはまだ試作品段階にあると思われる。だが、同社のフレキシブルバッテリーがこの先市場に投入される可能性は大いにある(あるいは、他の企業が似たような製品を市場投入するかもしれない)。ウェアラブル領域では、グラフェンやその他の2D素材を用いてフレキシブルなバッテリーを開発することに大きな関心が寄せられているからだ。

 2022年は既にいくつかの興味深い商業的な展開があり、上記以外の企業も新しいグラフェンバッテリー製品を市場に投入している。

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