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» 2022年06月27日 16時00分 公開

グラフェン太陽電池、実用化に向け前進海運業など用途も拡大(1/2 ページ)

グラフェンは、さまざまなハイテク用途向けとしての利用が推奨されてきたが、今のところ参入を果たすことができた分野は、ほんの数種類に限られている。その中の1つが、太陽電池市場だ。

[Liam Critchley,EE Times]

 グラフェンは、さまざまなハイテク用途向けとしての利用が推奨されてきたが、今のところ参入を果たすことができた分野は、ほんの数種類に限られている。その中の1つが、太陽電池市場だ。

 グラフェン太陽電池は、非常に大きな潜在的可能性を秘めている。太陽電池は、グラフェンのさまざまな特性を利用することによって、好ましい効果を得ることができる市場だ。過去数年の間に、実用化された製品がいくつか市場に登場しているが、2022年に発表された最新製品は、海洋での使用がターゲットに定められている。

 グラフェンは、有益な特性を幅広く備える。例えば、柔軟性や引張強度、電気伝導性、電荷キャリア移動度、熱安定性などが非常に高い他、光透過性はほぼ100%で、ドーピングにも優れている。

 グラフェンは通常、完全な導電性を備えたゼロバンドギャップ材料であるが、実際には半導体性能を備えた誘導体を持っている。また、純粋なグラフェンシートを、幅広い種類の原子でドーピングすることにより、太陽光発電ジャンクションボックスでの使用に最適な半導体材料を作り出すことが可能だ。

 しかし、グラフェンを活用するにあたり、ジャンクションボックスだけに焦点が絞られているわけではない。現在、グラフェンが最も広く使われている分野の1つであり、最も実用化の可能性が高いとされているのが、その伝導性能を、太陽電池で使われている透明電極のITO(インジウムスズ酸化物)の代替として利用するという取り組みだ。

グラフェンをコーティングとして使用

 グラフェンはこの他にも、無反射コーティングとして使用することにより、他の種類の太陽電池の光吸収を高められるという可能性も秘める。

 グラフェンは、電気特性に加え、構造特性も商業的観点から見て非常に興味深い。グラフェンを利用した太陽電池は、製造中の熱応力が少ない傾向にあるため、太陽電池セル内部のマイクロクラック形成を低減することが可能だ。

 グラフェンは、既存材料よりも機械特性と安定性に優れているため、それを利用した太陽電池は、劣化が少なく長持ちすることから、長期的にコストパフォーマンスが高くなる。

 グラフェンは、調整やカスタマイズが可能な上、さまざまな特性を備えるため、学術/産業レベルの両方において、幅広い用途に適した多彩な太陽電池を実現することができる。グラフェンは、その特有の薄さと柔軟性により、さらなる柔軟性を備えた、印刷可能かつ透明な太陽電池の実現への扉を開くことになるだろう。

 学術レベルでは、さらに特殊な形式の太陽電池が数多く見られるが、グラフェンを利用した太陽電池の中には、既に市場に登場しているものや、現在広範に及ぶ試験が行われているさなのものもある。

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